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絆のあとさき 5

[1] スレッドオーナー: 小田 :2024/10/14 (月) 11:02 ID:J9iEAGI6 No.195459


予定を遥かに超えて、No.5まできてしまいました。
その理由となると、想定が甘かったの一言でしかありません。

一連の流れの出来事を取捨選択してはいるのですが、その繋がりを持たすために小さな出来事にも
焦点を当てたのが、原因だと思っています。
一年というそう長い期間ではないのですが、大なり小なり記憶に残る出来事も数多くあります。

数多の経験と年月を経て、心情の変化に戸惑い、立ち止まることも多々あるように感じられます。
変わらない、変えられない体への対応方法も、彼女なりに理解出来ているように見えるのですが、
そう簡単なことではないのかもしれません。

コメントを頂いた皆様、読んで頂いていると思われる皆様、遅々として進まない展開が続きますが、
今後共、お付き合い頂けますようお願いします。


[2] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/14 (月) 12:15 ID:J9iEAGI6 No.195462


続きです。




「オーナーじゃないのよ、コイズミ君ね?」
「説明がないと誰か分からないね。名前を口にしないのは、二人だけ、違うな、オーナーに
説明する時間を省いた、そうだろ?」
「それもあるけど、直ぐ傍に居るのよ。手を取ればいいんだもの」
「なるほど。情景に光が差したかな?」
「そんなに暗くはないのよ。あっ?そういう意味じゃないのね?」
「天然の使い方に不備があるだろ?はははっ」
「はい・・・続けるわね」


『私のスカートを捲り上げてくれる?腰までね・・・お尻は見えるように・・・いいわよ・・・
オーナーは私の前に。かがまないと見えないわよ』
『・・・こうか・・・脱がないのか?』
『紐パンと同じでしょ?脱がなくても・・・私が・・・これでいいでしょ?』

何も聞こえない数秒が、次の展開を待っているようです。

『・・・あぐっ!・・・もう!吸い付かないで・・・あうああっ、気持ちいいわ・・・』
『愛液が半端じゃないな・・・どうだ!マックスで逝きまくれよ』
『あああっ、あっ!?・・・ダメ〜!凄いの、いいわ!いいわ!!あああっ、あっあっあああぁ、
あう、ああっあぅ・・・』


「いいところでごめんね?」
「止める?恥ずかしい?はははっ」
「だって、ちょっとかな?説明しないと情景が見えないでしょ?」
「想像は出来るが・・・まぁ、聞こうか?」
「うん・・・オーナーがマックスって言ったでしょ?」
「そうだったかな?」
「あれ?おかしいなぁ、私にはハッキリと・・・ほんとに?」
「二通りの意味があるだろ?リモコンをマックスに設定する、マックスに逝かせる、どっちだい?」
「もう!ほんとあなただわ、うふっ。二つともかな?リモコンをマックスにして最高の絶頂を
与える、あれ?分かって聞いたでしょ?」
「まぁ、認識は必要だからね。確認かな?はははっ」
「些細な事でしょ?あなたらしくないわ」
「情景は明るい方がいいからね。暗いと余計な詮索も顔を出すだろ?」
「だからなの、あなたに聴いて欲しくて・・・あれ?不安があるから清廉潔白を強調してるって
思ってる?」
「そこまで頭が回るのなら、問題なさそうだね」
「ある訳ないでしょ?回さないでね?加熱したらボロが出るかも?うふっ」
「はははっ、ボロも隠しようだが、今のいずみにはそぐわないね」
「そうでしょ?清廉潔白ないずみなんだもの。あのね、オーナーはリモコンをマックスにして
コイズミ君に渡して・・・分かった?」
「いずみは両手が塞がってるんだろ?」
「そうよ、オマンコを開いていたんだもの。あれ?少し恥ずかしいかな?うふっ」
「だね、続けようか?」


[3] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/14 (月) 17:05 ID:J9iEAGI6 No.195475



『軽く逝った?どう?』
『・・・あぁあうあぁ、ううっ?軽く?・・・違うかな?』
『少し痙攣したな。どうだ!僕のペニスは、はははっ。もっとするか?』
『ナマがいいもの。ベッドでナマならもっと興奮できるでしょ?』
『その日まで妄想だろ?白状しろよ』
『うふふっ、想像にお任せしますわ。どうする?』
『ローターは止めて、アイスの前に潮吹きといこうか?』
『大変よ、お洋服が濡れるかも?』
『その覚悟がないと何もできないだろ?いずみちゃんはNGなしだろ?』
『そうだけど、いいのね?・・・あっ?!ゆっくり・・・ふ〜っ!・・・どう?』
『ヌレヌレどころか、ベチョベチョだな・・・どこに・・・』
『後ろの洗面台に置いたら?』
『いずみちゃんの愛液たっぷり、愛情たっぷりだろ?置くのがもったいないね』
『”愛”違いね?セックスの”愛”だもの。”愛情”は”愛欲”に置き換えて下さいね、うふっ』
『言えてる、いつも感心するよ・・・さてと、ローターに解放されたから、ユビマンで・・・
ペニスにするか?』
『それはベッドで。何度も言わせないでね?おつむに穴が開いてるって思うわよ』
『どういうことかな?』
『抜けてるってこと、分からない?』
『はははっ、抜くのはベッドでだろ?』
『空気もね?抜けてるでしょ?』
『バカってことか?』
『バカな人とはお相手はしないわ。そうじゃなくて、私の気持ちを考えてくれる人のことなの。
オーナーは気遣いの人なのに、時々・・・ねぇ、分かるでしょ?』
『そう言われたら・・・ユカもそのようなことを言ってたな』
『でしょ?分かったんだから、前に行こうか?うふっ』


「ねぇ、ユカさんの事が気にならない?」
「ジャパン君の存在かな?」
「でしょ?二人は仲良しかもしれないわ。ジャパン君が先にお店に入ったって言ったでしょ?」
「ユカさんがお目当て?」
「だからね、私達の事は気にならないのよ。でも、オーナーは何だか気になるみたいで、
おトイレに入るまで、チラチラ見てたから、そうだと思うの」
「オーナーの彼女じゃないんだろ?」
「うん、だから変だなって、そう思う私は鋭いと思わない?」
「ん?事情が分かればだが、特に気にすることもないだろ?」
「そこは気にするところでしょ?」
「ん?意味不明だね」
「単純明快だもの。事情は分からないのよ、でも、ハッキリしてることってあるでしょ?」
「二人を気にしてることか・・・おっ?もしかして?」
「あなたが聞かないから少し心配だったの。だって、お店の近くなのよ、コイズミ君にレコーダー
を仕込んだのは」
「オーナーは二人に気を取られていたから、注視されなかった、そうかい?」
「そうでしょ?何かに気付いていたら、質問するでしょ?そんなの何も録音されていないもの。
オーナーの目線も注意力も、私達にはほんの少ししか注がれていなかった証拠でしょ?」
「気にはなったが、いずみがそれを持ち出さなかったから、違和感はあったとはいえ、上手く
やり過ごせたと理解したよ」
「良かった!少し前に戻ったけど、あなたと意思疎通できたから、小さな不安も取り除かれ
ました、うふっ」
「気になる事があれば、注意力散漫になるのは致し方ないね」
「うふふっ、追認頂けて、嬉しいですわ、うふっ」
「あれだね、そこのところの説明を省くのは、強者だね?」
「あなただからよ。他の人なら先に話しておかないと、後々誤解の種にもならないとは言えない
でしょ?」
「難しいね?理由は?」
「斜めから見ようとするでしょ?だから、説明が遅くなっても、その時までには理解していると
思えるもの」
「今回は、灰色の脳細胞だったね?はははっ」
「一件落着?」
「だね、続けようか?」


[4] Re: 絆のあとさき 5  てっちゃん :2024/10/18 (金) 00:10 ID:CDIyuLjU No.195619
小田様

ご無沙汰しております。
いつも楽しみに拝読しております。

新スレッドアップありがとうございます。

お忙しいと思いますが、無理せず、続けて頂ければと願っております。

宜しくお願いします。


[5] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/19 (土) 11:40 ID:Nb4ToO/w No.195644


てっちゃんさん、コメントをありがとうございます。

お久し振りですね。
長いお付き合いになりますから、相も変わらない稚拙な文章には、そろそろ飽きられている
のかと、内心穏やかではありませんでした。

投稿当初の頃とは展開が大きく変わっていますから、興味を惹かれた時に持たれた感想とは、
かなり違った思いがあるのではないでしょうか?
私もここまで続くとは、全く想定もしていなかったのですから、何とも言えない不思議な
気持になります。

その年の出来事まで投稿する予定ですが、今投稿している季節は秋ですから、あと少しで
その年を終えることになります。
可能な限り、年末までに投稿を終えたいのですが、そう簡単ではないかもしれません。

投稿回数を増やすことは難しいかもしれませんが、温かく見守って頂ければ幸いです。


[6] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/19 (土) 16:34 ID:Nb4ToO/w No.195659


続きです。





『さぁ、始めるよ・・・うっ?ヌレヌレだものなぁ、愛液で溺れそうだよ、あはははっ』
『変なバカ笑いは止めてくれない?集中できないでしょ?うふっ』
『集中?いずみちゃんには似合わないだろ?いつでも、どこでも・・・NGなしなんだから』
『良かった!誰とでもって・・・あれ?控えてくれたの?』
『僕にも常識があるからね。驚いた?』
『もう一度ね?ほんとに良かったわ、常識のある人で・・・あぅ!?・・・あああぁあっ・・・
ゆっくり、お願い・・・』
『どうかな?常識的なら興奮も半減するだろ?一番奥と・・・前の二カ所責め・・・もっと腰を
押し付けて、もっと強く!・・・』
『いいの・・・そこ!そこ!・・・あああぁっああっ・・・いいの、いいの・・・
ねぇ、もっと速く・・・ああああっ、あうあぅああああっ・・・ダメ!ダメ!・・・うううっあぁ、イク〜!!・・・』


「何だか恥ずかしいなぁ。状況説明は?」
「避けたい?じゃないだろ?」
「うん、情景が見えないと暗いままでしょ?嘘偽りのないいずみを見せないといけないもの。
ちょこっと恥ずかしいかな?観られてる方が気持ちも楽だわ」
「じゃ、次回は鑑賞会?」
「それはないかな?あなたは黒子だもの。時間がかかっても、こうして白日の下に曝け出さないと
いけないもの」
「お利口さんだね?はははっ」
「もう!私のフレーズじゃない?あなたには難しいフレーズがあるでしょ?」
「急に言われても思い付かない、フレーズとはそういうものだろ?」
「うふふっ、降参?・・・いいわ、あのね、膣の一番奥、子宮口の下側ね、それと子宮口と
その周りを二本の指で同時に刺激するの。Gスポットじゃないのね。最初は、鈍くて重い興奮って
言えばいいかな?それが急に体の奧から湧き上がって来るの、その後すぐにGスポット責め、
もうあっという間よ、出る感覚って分かるのに、止めることも何も、何も考えられない状態ね、
出ると逝くが同じ感覚なの。でもね、潮吹きはエクスタシーの亜流だと思うの。
ほんとに逝くのはペニス、これしかないと思うわ。あっ?でも誤解しないでね?潮吹きも立派な
絶頂をもたらしてくれるの。ただ、一番じゃないってこと、男性を楽しませるプレイだと思うわ」
「女性はペニスで逝きたい、それに尽きる?」
「うん、私だけかもしれないけど、バイブとか媚薬とか、それって亜流なの、本命はペニス。
複合的なプレイであっても、それに尽きるわ・・・あっ?ごめんね?気になる?」
「まぁ、気にならないと言えば嘘になるね。それより・・・」
「それよりって?・・・二カ所責め?」
「難しい体勢だからね、方法論を聞きたいかな?はははっ」
「出たわね、それがあなたのフレーズ?」
「聞かせろよ」

”分かってるんでしょ?”と言いたげな微笑みを湛えた表情が、迫って来ます。

「”チュッ!”・・・うふふっ、そんなの難しいでしょ?オーナーって言葉に酔うタイプだと
思うわ。ベッドじゃないと無理ね、少なくとも、あの体勢では私がいくら協力しても不可能だもの」
「二カ所は時間差ってことだね?」
「分かってるんでしょ?ボルチオとGスポットを同時刺激なんて、両手を・・・あれ?指の事ね、
その指を二本ずつかな?挿入しないとできないもの。これって、経産婦じゃないと難しいと
思わない?」
「だろうね。屈んでは無理があり過ぎだね、やはりベッドしか、まぁ、寝る場所があればだが、
トイレでは不可能だね」
「オーナーって、テレホンセックスでもそうだと思うのね、言葉以上に反応するタイプ、妄想が
大好きなんじゃない?」
「はははっ、来月にはその素性がハッキリと見えてくるんじゃないか?」
「木下さんのエロ小説の?」
「直ぐそこだからね、それ迄はライトセックスで我慢だね?」
「我慢?・・・私?それってオーナーでしょ?」
「ん?・・・そうしとこうか?はははっ」
「はい、それでお願いします、うふっ」


[7] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/20 (日) 11:26 ID:FRqlMzaw No.195675



『うへ〜、出たね、ここまで飛ぶとは。見ろよ、濡れただろ?』
『・・・えっ?・・・あああっあっ・・・ふ〜、ごめんね?』
『いずみちゃんのだからね・・・もうグチョグチョ、ヌレヌレパンツだね、あはははっ』
『パンツ?・・・ほんとだ!穿き替えたいかな?』


「パンツを穿き替えた理由が分かったでしょ?」
「一々止めなくても、理解の範囲だからね」
「鮮明な情景は必要でしょ?」
「見え過ぎるまでもないだろ?腹八分目とか言うだろ?その程度でいいからね」
「難しいな?あなたの理解力ってホントに読めないのよ」
「任せるから、端的に。いいかい?」
「録音済みは変更も何もできないわよ。あっ?早送りね?」
「はははっ、お願いするよ」


『脱がせてやるよ・・・チュッ!・・・潮は愛液と同じだろ?』
『うううっ、吸い付かないでよ。オシッコじゃないって聞いたけど、私にはオシッコと同じ
感覚かな?でも、コントロールできないから、それって潮だからかな?』
『愛液だろ?膣の愛液とは違うかもしれないけど、正真正銘の愛液だよ』
『じゃ、愛液のシャワーなのね?沢山かかって嬉しいでしょ?』
『はははっ、ズボンがビショビショだよ。いずみちゃんが穿き替えたら、ズボンを脱いでお願い
しようかな?』
『いいわよ・・・バッグを取ってくれない?』
『・・・どこかな?』
『テーブルに置いてきたの。必要ないでしょ?』
『そうだな・・・まずはいずみちゃんのパンツを・・・そうそう足を・・・はははっ、サポート
だろ?シッカリしろよ』
『すみません』
『気にしなくていいわよ。オーナーって独りよがりだからね?』
『言われようだな・・・さてと、持ってくれるか?』
『早く!私のパンツでしょ?オーナーが脱ぐのはその後で、いいでしょ?』
『バッグだな?』
『そのまま持って来てね?』

微かに鈍い音が聞こえて、直ぐに、

『痛て!・・・おっ、背中が・・・』
『大丈夫?鈍い音がしたけど・・・立てる?』
『ここで立てないと、後で勃たないだろ?・・・はははっ、冗談もきついかな?』
『うふふっ、無理しないでね?』
『あぁ・・・』

ドアの開閉音が聞こえて、

『ごめんね?キスは?・・・いいのね?チュッ!・・・バッグは預かってね?おトイレを出る前に
さっきのモノをバッグに、いいわね?お礼は・・・あっ?・・・』

ドアが開いた音に反応したのでしょう、

『・・・ありがとう・・・どう?背中は?』
『きてるね、ここにも影響するかな?』
『まぁ!慰めてあげたいのに、残念だわ、うふっ』
『いずみちゃんのご厚意は、有難く受け取っておくよ』
『あれ?いいのね?』
『えっ?お終い?』
『だって・・・大丈夫なの?腰はプレイに影響するわよ。木下さんに叱られてもしらないわよ』
『背中だよ、だけど、腰にも・・・無理は出来ないなぁ、来月も直ぐだからね。その時までは
妄想のいずみちゃんだね、あはははっ』
『笑えるんだから、その時は元気になってるわ。そうじゃないと私も楽しめないでしょ?』
『そうだな・・・これだろ?』
『そうよ・・・えっと・・・あったわ・・・持っててくれる?・・・』


[8] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/20 (日) 15:04 ID:FRqlMzaw No.195681



「いいかしら?」
「引き延ばしたが、我慢できなかった?はははっ」
「妄想する?オーナーとは違うものね。ここで説明しないと私の沽券に関わるでしょ?」
「いずみプライドかい?」
「そうとも言うわね、うふっ。ほんとにいい?」
「見えない情景も現れてきたからね、グッドタイミングだよ」
「ホント?良かった!あなたに”止めるなよ”って、叱られないかちょこっと不安だったの。
ほんとだからね」
「信じるから、説明しろよ」

”ふ〜っ”と安堵の吐息を漏らします。

「青息吐息でなくて良かったね?」
「楽しんでるの?」
「そう見えるのならそうかな?はははっ」
「もう!・・・うふふっ、それがあなただって分っているのに、乗せられてしまうんだもの、
あれ?乗って欲しいかな?」
「もういいだろ?進めろよ」
「うん・・・私のパンツを脱がせて、コイズミ君に渡したのね。それは分かるでしょ?」
「ヌレヌレの?かわいそうだね。ん?そのような話しはしていなかっただろ?」
「彼って優しいのよ。振り返らなかったけど、笑顔で受け取ったと思うわ。だって、願っても
手に入らない貴重なパンツ、私はそう思うんだけど、どう思う?」
「有名人ならそうかもしれないが、無名もいいところだろ?普通に考えればあり得ないね。
僕の疑問は?」
「そうよね。私が指示したんじゃないけど、何だか悪いことをした気分だわ。
ところが、オーナーが持ってたでしょ?あのね、ヌレヌレのことね、パンツはずらしていたから、
殆んど濡れていないのよ。愛液が少しかな?コイズミ君、ジャパン君とセックスした時は、
全裸だったから、パンツに沁みも何も付かなかったと思うの。ローターの刺激で少しは、でも
ほんとに少しだから」
「強調しなくてもいいよ、推測は出来るからね。感性の違いと思えばそれで済む問題だよ」
「そうね、オーナーって大袈裟に言いたいのね?きっと妄想が大好きな変態なんだわ」
「変態は兎も角、いずみを楽しませる引き出しは、多い方がいいだろ?」
「うふふっ、言えてる。そう思えば喜ばないといけないのね?」
「喜んでいたじゃないか?正にその通りだね、はははっ」

”分かった?”という風に、キスしてきます。

「それが答えだろ?」
「うん・・・ちょこっと恥ずかしいかな?ではでは、次の疑問に移ります。
え〜っと、アレだわ、コイズミ君にパンツを渡して、ズボンを脱ぐジェスチャーをしたのね。
私にたしなめられて立ち上がろうとして、洗面ボウルに背中を打ち付けたの。鈍い音がしたから、
相当痛かったと思うわ。おトイレって狭いでしょ?洋便器と洗面台の間に三人が居るんだもの、
推して知るべし、でしょ?」
「僕のフレーズって言わないのかい?」
「はい、理解の範囲でしょ?そう難しいフレーズでもないと判断しました、うふっ。
あとは・・・バッグを受け取って、未使用のパンツを取り出してから、コイズミ君に渡したの」
「パンツにバッグか、大変だね」
「続きを聴いてくれる?」


[9] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/20 (日) 19:35 ID:FRqlMzaw No.195683



『・・・あのね、パンツをバッグに入れてくれない?』
『畳めないけど、いいですか?』
『いいわよ、そのままポンって入れてくれたら』
『ポンですね?』
『グダグダ言ってないで、早くしろよ、はははっ』
『すみません・・・”ポン!”、入れました』
『ありがとう・・・じゃ、私は・・・パンツを穿くわね?』

ほんの少しですが、何も聞こえません。

『はははっ、よろけるのもなまめかしいが、僕のようになったら大変だろ?掴まれよ』
『ありがとう・・・ふ〜、穿けたわ・・・チュッ!、うふふっ』
『はははっ、さてと、いずみちゃんの話を聞こうか?』
『おトイレを出てからね?』

ドアの開く音の直ぐ後に、小さく雑音を拾っていますが、その後は何も聞こえません。


「あれ?・・・ノイズも聞こえないから、スイッチを切ったのね」
「気を利かせ過ぎかな?」
「そうかも。おトイレの中だけだと思ったのかもしれないわ。それとね、テーブルに戻っても、
二人しか座れないでしょ?それもあって、録音できないかもって早とちりしたとも取れるわね」
「いずみの傍に居て初めてレコーダーの役目を果たせる、そう思ったのかもしれないね」
「理由は兎も角、レコーダーはここまでね。そこで話したことは、もう分かるでしょ?」
「先に聞いたからね。どうするかも打ち合わせ済みだから、再確認する必要もない。
ところで、何か忘れていないかい?」
「えっ?・・・あっ!アイスのことね、オーナーが背中を痛めたでしょ?それが気になっていた
から、忘れていたのね。コイズミ君から受け取って洗面台に置いたのはいいのよ、痛みかアイスか、
重みの違いね、オーナーは痛みを取ったのよ。だから、コイズミ君から”忘れ物”って差し出され
るまでは、忘却の彼方。でもね、私がパンツの穿き替えを持ち出さなければ、アイスを挿入されて
いたかも?そう思わない?」
「はははっ、それはないだろ?適当な理由を付けて、回避したと思うけどね。違うかな?」
「うふふっ、臨機応変ってこういう時に使うのね?」
「まぁ、そうとも言うかな?」
「だからね、アイスを食べながら、戸田さんに会った話をしたの。これで辻褄が合ったでしょ?」
「合わないことがあるだろ?」
「えっ?・・・なんだろ?」
「パンツの行方だよ」
「ほんとだ!・・・あのね、アイスってカップに入ってるのね。時間も経ってるから早く食べ
ないといけないでしょ?おトイレを出てオーナーと向き合って座って直ぐに、コイズミ君から
アイスの存在を知らされたの。テーブルに二つ取り出して、ユカさん、ジャパン君、コイズミ君
の三人分はね、コイズミ君と私で二人のところに持って行ったの。
彼に頼んでも良かったんだけど、おトイレの事ね、何だか恥ずかしいでしょ?言葉を交わしたら、
気持も落ち着くかなって。
そしたら、ユカさんが”可愛い声が聞こえていましたよ”って、そんなのあり得ないでしょ?
お店の片付けをしていたのよ。続けてね、”タイミングが良かったのね、ちょうどおトイレの
前をお掃除していたから”って、呆れて返す言葉もなかったわ。聞き耳を立てていたって白状
したのと同じでしょ?それが良かったのね、ずいぶん気持ちも楽になったの」
「その気持ちは分かるね。ところで・・・」
「パンツだわ、ごめんね?コイズミ君が犯人だと思っていたのね、携帯でオーナーから聞くまでは。
彼がバッグに入れたでしょ?それはいいのね、おトイレを最後に出たのが彼だから、その時に
ジャケットのポケットに入れたんじゃないかって思っていたの。
ホテルに向かいながら、あなたに掛けたでしょ?携帯はバッグの中だもの、パンツがないことは
直ぐに分かるでしょ?ところが犯人はオーナーだったってオチね。
アイスを持って行く時に、バッグは椅子に置いたのね、その時にオーナーが。そう考えるのが
自然でしょ?」


[10] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/20 (日) 22:06 ID:FRqlMzaw No.195686



「自白したんだから、経緯は必要もない。まぁ、子供じみた悪戯と処理したんだろ?」
「ほんと大人のすることとは思えないわ」
「楽しいオトコじゃないか?いずみの気を引きたい、そう見せているだけかもしれないが、
そうする理由は明白だろ?」
「戸田さんでしょ?」
「だね。僕のスタンスは話した通りだから、アトはいずみにお任せだよ」
「はい、了解しました・・・コイズミ君に明日のお昼休みに連絡するって話したでしょ?」
「そうだったね」
「遅くなったでしょ?あなたから掛かってくるし、少し慌てたのよ。私が悪いんだけど、なんとか
しないといけないもの。オーナーには戸田さんに連絡するって約束して直ぐにお店を出たの。
でも、ホテルには向かえないでしょ?坂道の歩道とは反対方向だもの。それにコイズミ君には
連絡するって話さないといけないし、小さくないパニックだったの。
それって分かるのね?彼が”そこまで送ります”って、気の付く子でしょ?
直ぐそこなんだけど、横断歩道の信号待ちの時に、そのことを話して”会える日を考えててね?”
って。そしたら、”キスしても?”って満面笑顔なの。ソフトに抱き付いて唇に触れたら、
”早く会いたいです”なの。これって営業トークじゃないでしょ?」
「次回で分かるんじゃないか?そこまで話さなくてもいいからね」
「うん、ごめんね?・・・でね、横断歩道を渡って少し歩いてから、急いで横断歩道まで戻って
坂道を上がったの。あなたと会ったコンビニのところから、お隣のホテルに入る前に、あなたに
掛けたの」
「慌ててる様には感じなかったが、それがいずみなんだろうね?」
「えっ?どういうこと?」
「過去には拘らない、前を向いているってことだよ」
「忘れぽいって聞こえるわ、そうでしょ?うふっ」
「天然の為せる業じゃないか?はははっ」
「訳分かんないでしょ?でも、それが私って自分でも納得だわ」
「結論も出たことだし・・・」
「私達の結論を今から出す?」
「出るかな?はははっ」


性的な接触には戻らず、ジョークを交えながら眠りにつきます。
いずみはベッドを移動することも、それを示唆することもなく、抱き付いたまま私より先に
眠ってしまうのですから、私への報告にはかなりのプレッシャーがあったのだろうと推測できます。


[11] Re: 絆のあとさき 5  てっちゃん :2024/10/24 (木) 22:49 ID:4QSaftFc No.195777
小田様

返信ありがとうございます。

週末は小田様の投稿を楽しみにしている読者の邪魔をしたく無く、平日の投稿を心がけていますが、平日は平日で時間が取れず、コメントが疎かになっていました。

小田様といずみさんの会話は、まるでレコーダーを再生しているかの様に詳細で、かつ、言葉を大事にしつつ行間を埋めるようなやりとりで、いつも感心しています。
一方で、そうなると、記憶に自信の無い私は、一旦立ち止まって振り返りつつ、繰り返し読まないと、状況を把握できなかったりもします。

ただ、前と違うのは、なんと言っても、現在のお二人の状況がわかっているからで、安心して読める点です。

これからも、その年の終わりとは言わず、投稿を続けて頂けたらと思います。

楽しみにしています。

[12] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/26 (土) 17:33 ID:1yqKVH5. No.195805


てっちゃんさん、コメントをありがとうございます。

会話中心ですから、状況説明が少ないと分かり難いかもしれません。
ひとえに私の投稿スタイルに起因する事なのですが、その都度、状況説明を挟むには
時間がありません。
私も気になっているのですが、なにぶん投稿時間に制約がありますから、
そこまで手が回らず、余計な神経を使わせているようで、申し訳なく思っています。

次の展開が始まりますが、性的な情景は少ないかもしれません。
心情に重きを置いた内容になると思っていますが、焦点の当て方一つで、
その方向性が決まりそうです。

翌年の出来事については、全くの白紙です。
今は、予定している出来事を完遂することに注力したいと思います。
その後、その判断をしたいと思いますが、仮に投稿するとしても、暫くの猶予を
頂くことになると思います。


[13] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/26 (土) 20:08 ID:1yqKVH5. No.195806


続きです。





コイズミ君とは翌週に会う予定だったようですが、週末は楊社長とのベッドインが決まっていた
ことから、翌々週の月曜日を提案したのですが、生理周期と重なってしまいます。
その日を逃すと月末まで会えないことから、コイズミ君の意向を確認して、その日に決めたよう
です。
その日はいつものように、午後11時過ぎに掛かってきます。


『仕方なかったの。長引かせる訳にはいかなかったの。だって、お礼でしょ?間延びするなんて
失礼にもほどがあるもの』

言い訳にしか聞こえないのですが、生理中を容認してくれたコイズミ君の優しさに感動したと、
いずみにしては少々大袈裟な表現です。
生理中の性行為でも、ほとんど抵抗がないのですから、私に対するコイズミ君の心情を語る材料
としては、有効に働いていると思います。

『はははっ、無抵抗だろ?』
『えっ?・・・生理のこと?』
『喜んでとは言えないだろうけど、気にならないんだろ?』
『うん・・・汚れないか、それだけ注意すれば・・・もう!分かって聞かないでよ。あなたの
思ってることを当てましょうか?』
『アナルだろ?』
『うふふっ、誰もそう思うわね、だから事前に用意して。喜んでくれたわ、それが嬉しくて・・・
女って、私だけかもしれないけど、喜んでくれることが大きな興奮に繋がるの。セックスって
お互いに喜びを与える神聖な行為だと思うわ』

達観しているとでも言えばいいかもしれません。
百戦錬磨のいずみとしては、かなり控え目で優しさに満ち溢れている様子が、その口振りに
現れています。
セフレとしての立ち位置を受け入れたであろうコイズミ君への気持ちが、その言葉に集約されて
いる様です。

『神聖?若いね?彼に合わせたとしか思えないフレーズだね、はははっ』
『笑わないでね?タクマさんよりも若いのよ。彼もまだ純粋っていう、あっ?名前が伊純なのよ、
ねぇ、名前と同じように純粋な気持ちがまだ残っていると思わない?初々しかった時を思い出して
お付き合いできたら、私の青春も焼き直せるかもしれないでしょ?』
『女風のセラピストだろ?シッカリ染まっていると思うけどね。青春の片鱗でも見れたら、
宝くじに当たった以上の驚きに腰を抜かすんじゃないか?』
『言い過ぎでしょ?セラピストってお相手の女性に合わすことから始まると思わない?』
『そうだとしてもだよ、セフレとしていずみの青春時代を蘇らせることが出来たとしても、それは
マヤカシに過ぎない。合わせることから始まるセラピスト根性の賜物だと思わないと、どんでん
返しを食らった時の立ち直りが、遅くなると思うよ』
『うん・・・そうよね、それも分ってお付き合いするから。幻の青春でも見れたらそれこそ儲け
モノでしょ?』
『はははっ、その覚悟があれば大丈夫だね。大いに楽しめばいいよ』

不確かですが、ある意味、ひろ子が何らかのブレーキ役として登場させられることも考えられます。
ひろ子を念頭に置いて、伸ばせられる羽でなければ何の意味もありませんから、その状況を理解
した上での青春回帰であるのならば、特に問題になるような事態には至らないと思います。

『あのね、ほんとに愛し合えたと思うの。あっ?体の関係ね、分かるでしょ?』
『聞かなくてもいいよ。何か話したいことがあるのかい?』
『うん・・・あのね、生理なんだけど、3日目だったのね。普通ならまだ多い日なのに、ほんとに
少なくて、”アレ?”って感じだったの。体調が悪いとか何もないのによ。でも、それも楽しめた
一因かなって思うの』
『主人にのろける?はははっ』
『あなただからなの。全て話さないと私が私じゃないって。それで・・・今思えばだけど、
先月も少し少なかったかなって感じなの』
『よく分からないが、いつも一緒とは限らないだろ?全くなければ、その状況は直ぐに理解出来る
が、そうじゃないんだから、気にすることもないように思うが、本人はどう思ってるんだ?』
『そうよね、気にするほどの事じゃないかもしれないわ。ごめんね?余計な心配を・・・あれ?
心配じゃないって話したのね?うふっ』

相変わらずの纏め方です。

その週は木下さんのエロ小説の元ネタとして3Pの予定だったのですが、生理日と重なるため翌週の
水、木曜日に変更になっていました。
翌週ならレストランは休みではないのですから、以前のように木、金曜日とすればいいと思うの
ですが、何故か同じ曜日になったのです。
ですから、コイズミ君と同じ週ではなかったことが、いずみに幾分気持ちの余裕も持たせたとも
思えるのです。

あくる週の乱交については、これと言った言及はありません。
ただ、オーナーは思っていたほど濃密ではなかったと、想像を軽く裏切られたと苦笑いです。
仕事を終えた後からの参加ですから、そうだったのかもと、少しの気遣いも見せる優しさも
併せ持っているいずみではあります。


[14] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/27 (日) 16:17 ID:U8u3oWpA No.195823



その日から暫くは、問題になるような事柄もなく、日にちだけが過ぎて行きます。

10月の最後の週、客先での打ち合わせを終えて、夜に東京に着きます。
私が東京に来たのは、石黒さんと約束があったからです。
その日、木曜日なのですが、いずみはオーナーのレストランでバイトと聞いています。
可能であれば、週二日と決めているのですが、その週は月曜日も含めて二日目です。
いずみからは、バイトについての言及も特に何もありません。
いずみの弁を信じれば、気に掛ける程の事でもないでしょうし、店に入れる訳でもありませんから、
その場の雰囲気でも分かればくらいの気持ちで、いつものホテルに向かいます。
石黒さんは午後11時過ぎにいずみと入れ替わって、ホテルに来る予定なのです。

空港からその駅に着いたのは、9時30分は優に過ぎていました。
ホテルまでは5分も掛からないのですが、その途中に、いずみがバイトをしているレストランがあり
ます。
ライトセックス付きと私達は揶揄しているのですから、穏やかではありませんが、全て了解済み
なのです。

そのレストランの直ぐ傍を通るのですが、テラス席で楽しそうに話している一組のカップル以外は、
何の動きもありません。
立ち止まって見れるはずもなく、店の中までは視界が及びません。
9時以降は客足も減少すると聞いていましたから、カウンターのところで雑談しているのだろうと、
小さく納得してホテルに向かいます。
そのレストラン以外にも数軒の飲食店が軒を並べているのですが、ほんの少し歩いたところにも
同じ様なテラス席を設けたレストランがあります。
その傍を通りながら、石黒さんにホテル近く迄来ていることを連絡するために、上着の内ポケット
から携帯を取り出します。
掛けようとして顔を上げた時に、テラス席の一番奥、バイトをしているレストランからは一番遠く
の席に、いずみと見知らぬ男性が談笑しているのが目に飛び込んできます。
二人共、私からは横顔が見れる位置関係ですから、いずみが注意すれば、私を確認出来ないことも
ありません。
少し速く歩いて、数段の階段を上がり、高級外車を展示している建物の前まで移動します。
チラッと見ただけなのですが、向き合ったテーブルの上でお互いの手を繋いでいたのですから、
それなりに親密な関係だと理解できます。
ただ、彼の事は何も聞かされていないのですから、事後連絡だとしても、連絡する時間は優に
あったと思える程の親密さと判断できます。

石黒さんにホテル前に着いた事を連絡し、私が再度連絡したら、いずみの携帯に掛けるように依頼
します。
キツネにつままれたような返答でしたが、快諾してくれます。
ただ、その理由は可能な限り今夜中に説明する約束をさせられます。


いずみに掛けます。
少しのタイムラグの後、

『どうしたの?何かあった?』

ハッキリと話していますから、席を立って通路側に出て来ていると思われます。

『ホテルの方を見ろよ・・・』


[15] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/10/27 (日) 18:40 ID:U8u3oWpA No.195824



そう言って、階段の傍まで戻ります。
案の定、通路まで出て来ているのです。

『・・・見えるか?』
『来てたの?驚かさないでよ』
『今ね。聞いているだろ?』
『あっ?サワちゃんと入れ替わるんだったわ。お楽しみの時間ね?うふっ』
『いずみも?』
『えっ?オーナーとは何も・・・あれ?もしかして、そうでしょ?』
『親密そうだったが、僕の知らない男性だね』
『あっ?ごめんなさい、まだ話していなかったわ。纏まったら報告するつもりだったの』
『僕が来ることは分かっていたんだからね。脇が甘すぎないか?』
『考えなかったわ。この通路を通ることは分かっていたのに、私としたことが』
『奥だから分からないとでも?』
『ううん、何も、ほんとよ、何も考えなかった・・・ほんと甘すぎるわ。あれ?隠すとかじゃない
から、見られても問題ないって、それでかな?テラス席に』
『どうでもいいが、時間は大丈夫だね?』
『サワちゃんでしょ?それは大丈夫よ。どうしよう、説明しないといけないでしょ?』
『だね・・・兎に角、バレたんだから早急に修復しないと、いずみの沽券に関わるぞ、はははっ。
取りあえず切るか?』


お互いの携帯を切って、近付いて来るいずみを待ちます。
その時、彼女の後ろから、先程の男性がついてくるのが見えます。
厄介なことにならないか、少々身構えるのですが、傍まで来たいずみに、

「どちら様?」
「えっ?・・・お友達の・・・戸田さんっていうの」

いずみにしては少々しおらしい表情を見せるのですが、それは強気に出れない相手なのかも
しれません。
やはり”戸田”の範疇なのかと思い知らされます。

「久し振りですね、お会いするのは。いずみさん、そちらの方は?」
「えっ?・・・どう言えば・・・」
「主人です。そう話さないと」
「えぇ・・・でも・・・」

いずみの表情は、何かを訴えているようですが、少なくとも話を合わせて欲しいように見えます。

「それは・・・驚きですね?いつですか?」
「申し訳ないが、あなたには関係ない事ですから」
「そう言われればそうですが。まぁ、驚嘆絶後ですね?はははっ」

少々大袈裟に嫌味も交えて返答します。
”驚嘆絶後”は、これ以上の驚きは後にも先にもないという意味合いですが、自然と口にした
フレーズなのですが、私の造語かもしれません。

「初対面とは思えない物言いですね?」
「いつもと変わらないですよ。そうだろ?いずみさん?」
「えっ?・・・えぇ・・・」

”困らせないで”とでも言いたげな目線を送ってきます。

「話にならないね。偶然会ったのなら、特に話もないだろ?」
「えぇ・・・そうかな?」
「そうですね。元気そうで良かったよ。また、いつか会える時があるかもしれないから、その時は
色々と話せればいいね」
「はい・・・その時は・・・」
「ないかもしれないだろ?希望的観測は空しいものだよ。じゃ、いいかな?」


[16] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/02 (土) 18:05 ID:KXGlItqg No.196017



”強制終了”と言いたげです。
これ以上こじらせると、後でいずみに嫌味の一つも言われるかもしれません。
それどころか、その男性との関係性も見えないのですから、これ以上のツッコミは、傷口を
大きくするだけかもしれません。
いずみはどう理解しているかは分からないのですが、私が戸惑っている以上の感情を現わせたと
思いますから、どのように対処するのかも含めて後で説明する筈です。

「じゃ、戸田さん、お元気で」
「あぁ、お互いね」


階段を下りて行く二人には、どことなく違和感を覚えます。
慣れ親しんだ夫婦の状況を作り出すには、かなりの無理があるように思えるのは、いずみが私の妻
であると分かっているからかもしれません。
いずみの腰に手を廻してエスコートするのは、明らかに私への挑戦と受け取れます。

どのような理由があろうとも、その男性の妻を演じているいずみには、不信感しかありません。


ホテルの玄関を入って直ぐに、石黒さんに掛けます。

『待ってたのよ、今か今かって、うふっ』
『待たせたかな?話したように、いずみに掛けてくれないか?』
『緊急?お仕事でトラブル、これでいいのね?』
『二度目になるからね、そこは頭において、いいね?』
『一度目は小田さんだったのね?』
『分かるかな?はははっ』
『状況は分かんないけど、このミッションをやり遂げます、うふっ』
『頼もしいね。じゃ、直ぐに掛かってくれないか?』


チェックインを済ませて、ロビーでいずみからの連絡を待ちます。
ところが、想定していた時間迄には、掛かってきません。
直ぐとはいかないとしても、とっくに20分は過ぎています。
フロントにいずみが遅れることを伝え、客室に向かうと決めた矢先に、いずみから掛かってきます。

『ごめんなさい、ほんとに遅くなって。信じられないわ、人って分からないものね』
『はははっ、分からないのはいずみじゃないか?』
『自分でも理解不能なの。ねぇ、もう直ぐホテルだから、ロビーなの?』
『遅いから部屋に行こうとしていたんだが、カードキーが面倒だろ?』
『そうよね。じゃ、ロビーね?』
『早く来いよ。お後が控えてるからね』
『うふふっ、サワちゃんに叱られないように、でしょ?』

携帯を切って玄関前まで移動するのですが、いずみの姿は見えません。
先程の通路が通れない事情、あの男性がまだ居るとしたら、遠回りするしかありません。
一旦坂道に出て、コンビニの前から隣のホテルに入り、私の待つロビーに来るのかと、思い巡ら
していると、

「あなた!ロビーって玄関のこと?うふっ」


[17] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/03 (日) 11:31 ID:tkPWP66A No.196028



元気ないずみの声が、背中に突き刺さりそうです。
振り返った私に抱き付こうとして、

「あっ?ダメかな?」
「いずみ?先程とは180度も違うね?そうだった、どちらが僕の奧さんなんだい?」
「どちらも・・・私達の夫婦関係に亀裂はありません、うふっ」
「ん?ダミー?」
「そうよ、私って優し過ぎるのかも?ねぇ、ここでお話しできないでしょ?」

午後11時に石黒さんと交代するまでは、優に1時間はあります。

「部屋で?」
「うん、目立たなくていいでしょ?」
「気になる?」
「うん、来ないとは思うけど・・・イヤでしょ?」

いずみの気持ちは分かるとは言え、私は戸田ですから、何とも不都合な現実です。

「まぁ、また会ったら揉めること請け合いだね?」
「”妻と話すな!”って大変よ」
「僕が主人だと言ったら、警察を呼ばれるかもしれない。妄想癖には逆らわないことだね」
「言えないでしょ?戸田さんなんだもの。そうよね、現実と空想の区別がつかない状態、
一つの病気ね?」
「空想?夢想か妄想じゃないか?どちらにしても、一種の精神病かもしれないね。
ところが、僕の奥様はそれに合わせているんだから、おかしいのは僕かなって錯覚しそうだよ、
はははっ」
「あなた、大きな声は。だから早くお部屋に・・・あなたが原因で急ぐなんて、ほんと可笑しいわ」


部屋に入って直ぐに、

「お話しの前に・・・いいでしょ?」
「ん?ハグ?」
「見たんでしょ?手を繋いでいるところを。その親密さがあなたに火を点けた、でしょ?」
「少なくとも多くの時間がそうさせたと思ったからね。初対面とは言えない状況だと判断した
結果の行動だよ」
「そうよね・・・ねぇ、歯磨き?」
「だね・・・待ってるよ」

いつものように上着を脱いでベッドに置き、窓際の椅子に腰を下ろします。
帰宅した時とかホテルの部屋に入れば、上着を脱ぎ腕時計を外すことが、いつの間にか習慣に
なっています。
腕時計を外すと、腕のその部分が薄っすらと汗ばんでいます。
10月最後の週なのですが、夜ともなると少し肌寒い日もありますが、その日は昼間の暖かさが
残っていたのかもしれません。
それでも、昨夜とは明らかに違っているのですから、少なからず緊張していたのかもしれません。
私自身は緊張と言えるような状況ではなかったと理解しているのですが、そう時間も置かずに
始まるいずみからの説明に身構えているとすれば、そうかもしれません。
今まで経験した事のない精神状態の男性との関係となると、その対処方法に戸惑うことも想定
できますから、そう考えれば原因の一つと言えそうです。


[18] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/03 (日) 14:52 ID:tkPWP66A No.196035



纏まらない思いを巡らしてぃると、バスルームから出てきたいずみが、

「ごめんね?あなたは?」
「キスはしていないからね。手を洗うだけで許してもらおうか?」
「いいの?空気中には・・・うふふっ、あなたでもイヤかな?お願いしてもいい?」
「ん?・・・まぁ、ご所望とならば、はははっ」
「はい、交代ね?・・・ねぇ、キスしたってどうして・・・あっ?歯磨きね?」
「恍けるなよ。なにかい、キスしなくてもエチケット?」
「でしょ?・・・キスはしました。でも、”チュッ!”って挨拶みたいなモノだもの。
性愛のキスとは違うのよ」

区別していると強調していますが、ソフトからハードには大きな障壁もありませんから、
あっという間に性愛のキスになる事は、いずみも重々分っている筈です。

「ニアリーだろ?」
「紙一重?そうかな?そうかも!うふっ・・・ねぇ、早く!」

後ろに回って、私の首に両手を巻き付けて、催促してきます。

「分ったから・・・時間の事もあるから、簡潔に説明できるように纏めて・・・
はははっ、頑張れよ」
「はい!・・・でも、困ったな?」

口とは裏腹で、既に纏まっている様な余裕の表情です。


歯磨きを済ませて、ベッドルームに入ると、全裸のいずみが、零れんばかりの笑顔で出迎えて
くれます。

「何かのイベントかい?」
「お洋服って何かを隠している様に思えるの。清廉潔白な私を見て欲しいから、恥ずかしさを
・・・あれ?信じないわね?うふっ」
「はははっ、隠す理由があるから先手を打ったんだろ?」
「打てません。受け取る方ですから・・・分かった?」
「いいよ、真面目に話さないか?まずは裸になった理由から」
「うん・・・隠すことは何もないってことなの。口ほどにモノを言うって何だった?」
「裸?いい加減にしろよ、怒るぞ!はははっ」
「綺麗な体って、口で説明するより訴えるものがあると思わない?」
「アラフォーだろ?サバヨミ過ぎだろ?」
「やはり目なのね?目だったら、年齢なんて関係ないかな?」
「少なくともいずみなら・・・はははっ、いずみフリークが顔を出したかな?」
「いいのね?目には勝てないかもしれない私の体を見て下さい。何もなかったことが分かる
でしょ?」
「時間帯と場所を考慮すれば、何かあったと思う方がおかしいだろ?」
「そうでしょ?おかしな男性との噛み合わないお話しって、ほんと可笑しかったわ」
「それを話すんだろ?」
「はい・・・では、ここからは経緯を話します。真面目にお話しするから・・・ねぇ、ベッド?」
「真面目にだろ?」
「そうだったわ、ベッドはサワちゃんとだもの・・・ちょこっと寂しいけど。
じゃ、椅子にしようか?」
「下着を付けろよ。僕と釣り合わないだろ?」

10月も下旬になると、装いも季節感が色濃くなってきます。
それでもブルーをチョイスするいずみは、ほんとに好きな色のようです。
淡いブルーの長袖のブラウスに濃紺のカーディガンですが、珍しくブラックウオッチのパンツを
着用しています。
当然下着も同色ですから、やり過ぎと揶揄されてもおかしくありません。


[19] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/03 (日) 16:07 ID:tkPWP66A No.196039



先程の椅子に腰を下ろして、下着を付けるいずみと話します。

「そうね、空振りだったかな?」
「誰ならホームランなんだい?」
「あなた以外の・・・私に関心がある男性かな?」
「さっきの?」
「大ありよ。でも、私にはかすりもしない人かな?」
「見えないね、手を繋いでいたのは蜃気楼かい?はははっ」
「心の蜃気楼かな?見た目とは違うってことね、分かるでしょ?」

事実と真実の違いに言及するには、彼との経緯を説明する必要があります。

「だね。さぁ、始めようか?」
「審判みたいね?」
「最後じゃないだろ?はははっ」
「最後の審判?ミケランジェロ?」
「まぁ、これが最後になるとは到底思えないけどね。ミケランジェロも数年かかったようだから、
途中の審判かな?」
「はい・・・これでいい?下着だけだから”途中”になるけど、うふふっ」

”途中”を強調したいようですが、それは無視して、

「途中なら最後まで戻すかい?」
「あなたと不釣り合いだから?そうね、少し待ってね?」

ベッドに畳んで置いていた服を身に付け、テーブルを挟んで私の前に座ります。

「いいわ、審判を始めて下さいな、うふっ」

全く臆することもなく、清々しい表情に変わりはありません。

「じゃ、自己弁護から。いずみの説明を聞こうか?」
「あなた・・・いい?」

私の手をテーブルに乗せるように促します。

「同じシーンの再現?」
「イヤでしょ?二番煎じは。というか、得体の知れない男性と同じシーンってあり得ないもの。
そうでしょ?」
「分って催促かい?」
「違うの。見た目は同じかもしれないけど、強い絆で結ばれているのはあなたと私、彼とは絆と
言えるモノは何もないの。あるのは深い溝が横たわってるだけ。でも、彼にお願いされて、
仕方なく・・・」
「そうは見えなかったが・・・」
「でしょ?見た目は同じの違いを説明したのに、分からない?」
「はははっ、強気だね?立場をわきまえてるのか?」
「あっ?ごめんなさい。でも、ほんとにほんとなんだから」
「一瞬だったが、楽しそうな雰囲気だったね。僕以外の第三者でも同じ感想を持つと思うよ」
「うん・・・そうして欲しいって。だから、お願いされたって。あれ?強気ないずみかな?」
「はははっ、借りてきた猫はマヤカシだったのかい?」
「違うもん。あなた以外の人なら、かなり強気・・・あれ?さっきは真逆だったわ。
あれって、お願いされた流れでそうなったの。ホントに私じゃないから、それは分かってくれる
でしょ?」
「後で証明すればいいじゃないか?今は経緯が先だろ?」


[20] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/04 (月) 11:02 ID:3U5hAgGs No.196055



繋いだ手に力が入ります。

「温かいわ。あなただけね?他の人とはどこか違うの、それが何なのか分からないけど」
「僕も分らないよ。いずみの言い訳としか聞こえないが、はははっ」

その温もりに触発されたのか、腕時計を外した時に感じた汗ばんだ箇所を注視します。

「どうしたの?」
「ん?・・・特に何も・・・」
「ここ?・・・腕時計の・・・少し日焼けの跡があるだけ、何かあるの?」

探求心が旺盛ですから、変に誤魔化せば時間の無駄になります。

「まだ汗ばむ季節だろ?いずみの温もりから連想しただけだよ」
「お昼間じゃないのよ。あり得ないでしょ?・・・あっ?もしかして、緊張してたの?
それで外したのね?」
「いつもだろ?まぁ、正直に話せば、いずみの指摘に近いかな?」
「あなたが?信じられないわ。でも、そういう時ってあるものね。さっきは数少ない緊張感を
味わった貴重な時間だったのね?」
「物は言いようだね。見えないモノには自己防衛が働くだろ?」
「うん、分かるわ・・・あれ?私がその原因を作った張本人かも?」
「だから、早く経緯を話せよ」
「うん・・・あのね・・・そうだわ、お名刺を貰ってるから・・・」

立ち上がろうとするいずみを制して、

「先に経緯だろ?それは後でもいいから」

少しいら立ってる風を装います。

「怒ってる?」
「だとしたら?」
「うふふっ、お顔には何も書いてないわよ。でも、全て私が原因だもの、経緯を話すわね」
「堂々巡りだろ?早く話せよ」

坐り直したいずみは、腕時計を着けていた私の左手首に右手を重ねて、

「今も話したけど、この原因は私にあるの。でも、元を辿ればオーナーに頼まれたことが発端なの」
「オーナー?じゃ、彼の知り合いか、店の客か、そんなところかい?」
「うん・・・お客さんなの。少し長くなるけど、聞いて下さい。
あの人ね、常連さんだったのね。1ヶ月に2〜3回くらいの来店だったらしいんだけど、あっ?
忘れるところだったわ、いつも奥さんと一緒だったの。いつからだったかは聞かなかったけど、
話の様子では1年ってことはないと思うの。だって、奥さんが亡くなられたのが、半年前だって
言ってたから」
「腰を折るけど、いいかな?」
「うん・・・」
「奥さんの代役かい?」
「夫って言ってたものね、分かり易い展開かな?」
「なるほど。読めてきたね、いずみ似の奧さん?そういう設定かい?」
「ほんとの事は分からないのよ。でも、写真を見せてくれたから、作り話でもないでしょ?」
「信じられる?」
「全てではないけど、そう思っても間違ってるとは思わないでしょ?あれ?あなたみたいだわ」
「はははっ、緩衝材かい?」
「うふふっ、真剣なお話しだけど、余裕のない精神状態だったら、間違ったことも口にしそう
でしょ?」
「言えてるね。続けてくれるか?」


[21] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/04 (月) 12:45 ID:3U5hAgGs No.196059



私の手首に置いていた右手を放して、手を繋ぐように促してきます。

「こうだったでしょ?」
「そこまでは・・・一瞬だったと話しただろ?」
「分からなかった?こうなのね、彼が強制的に両手を繋いできたの。その時に、”チュッ!”って。
その直ぐ後だったんじゃないかな?あなたが見た光景は?」
「光景?キスを見てれば情景かな?はははっ」
「あなたって細やかな気質の持ち主だった?この場合は、光景じゃないと真実じゃないもの」
「信じれば、かな?」
「信じなさい、でしょ?」
「命令?強制はその男性じゃなくいずみだった?」
「えっ?すり替えないで、うふっ。でも、手を繋いだのもキスも・・・半強制かな?」
「半自主的だろ?」
「だって、お願いされたんだもの。仕方ないでしょ?」
「笑顔でね?はははっ」
「それも含めて、分かって言わせるんだもの。あなたって偏屈者でしょ?うふっ」
「いずみはその妻だよ。まぁ、変態じゃなくて良かったかな?それなら淫乱いずみの再認定だ
ものね」
「皮肉れ者のあなたと素直な私、考えようではベストカップルじゃない?」
「はははっ、オス・メスの関係性とリンクするかい?」
「するでしょ?陰と陽、性格なんてそのものだもの」
「言われようだね。まぁ、不適切な発言とは言えないかな?」
「でしょ?続けるわね?」
「詳細は要らないだろ?聞いても始まらないからね」
「えっ?・・・でも、どうするの?」
「いずみも分ってるんだろ?」
「うん、結論はとっくに出しているのに、報告する前に見つかるなんて・・・あれ?泳がせて
後で責める事も出来たのに、どうしてなの?・・・そうか!私を信じてる証拠ね?」
「時間の無駄だろ?意味のない事はしないいずみだから、確たる理由だあると思ったからね」
「短い時間にそこまで考えられる?ほんとに?」
「信じない?」
「信じたい、かな?」
「信じなさい、かな?」
「うふふっ、あなたも強制してない?」
「自主性は大事だろ?」
「ほら!それって強制じゃない?」
「まぁ、人それぞれだろ?」
「うん・・・だからね、今夜で終わりにしようって思ってたの。それなのにあなたに突撃される
んだもの、計画が狂ってしまったでしょ?」
「綿密な?ほんとに?」
「もう!真面目に話さない?早くしないとサワちゃんと交代できないでしょ?」
「はははっ、じゃ、要領よく纏めてくれないか?」
「うん・・・今夜で3回目なの、会うのが。でも、彼はもっと前から私の事を意識してたみたいで、
オーナーにそれとなく話してたのね。でね、詳細は省くわね、オーナーにお願いされて、お話し
だけならって。会えるのはバイトの時だけ、オーナーが持ち時間を譲ったのね。
二人の間でどのような話しがあったかは分からないのよ。でも、彼の話が事実だとして、私で少し
でも癒されるのなら人助けになるかなって。それで・・・」
「人助けになったかい?」
「どうだろ?なったかもしれないけど、もう限界なの。相性ってあるでしょ?私には無理かな?
というか、普通の女性なら避けて通る人って感じなの」
「猫マタギ?」
「お魚じゃないのよ。立派な経歴の人だけど、私にも選ぶ権利はあるでしょ?」
「食べそうにならなかったのかい?」
「うふふっ、私を食べたそうにしてたけど、ミエミエでしょ?」
「キスだけで門前払いとは、如何ともしがたいものを感じるね」
「半強制って話したでしょ?いくら頑張ってもそこまで。その先ってあり得ないもの。
ねぇ、気付いていたでしょ?お洋服・・・これね?・・・」


[22] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/04 (月) 15:04 ID:3U5hAgGs No.196062



立ち上がって、ブラックウォッチのパンツを見せます。

「・・・"NO!"って言ってるのに、な〜んにも分からないの。自分中心に回ってる人だもの、
他人はどうでもいいって感じかな?」
「じゃ、人助けをしたんじゃなくて、僕に助けてもらった感が強いだろ?」
「あなたね、私一人で解決するつもりだったのに、とんだお節介だわ、うふっ」
「突撃は止めて、泳がせた方が良かったかな?はははっ」
「うふふっ、善意のお節介だもの、断わる事ってできないでしょ?ましてやあなただもの」
「やっと感謝の言葉が聞けたね、ホッとするよ、はははっ」
「ごめんね?ちょこっと遠回りしました」
「さてと、終焉の方法論は?」

今夜実行すると決めていたようですが、

「特に何もないの。私の気持ちをストレートに伝えて、終わりにしようって。無理なモノは無理
だもの、相手の気持ちを考えたら何も言えなくなるでしょ?だから、心を鬼にして・・・
あれ?優しさに満ち溢れた心なのに、鬼になれるかな?」
「なれるだろ?彼の前で戸田を演じさせたんだから」
「仕方なかったの。あの場で説明なんてできる筈もないでしょ?精一杯の・・・女神のお顔だった
でしょ?」
「はははっ、お助けマンの僕は、男神かな?」
「あれよ、白馬の騎士、それに違いないわ・・・あれ?ちょっとそぐわないかな?うふっ」
「差し詰め、タクマさんかコイズミ君のイメージだろ?白状しろよ」
「容姿は、かな?中身は誰とも比較できない程だもの。やっぱりあなたが白馬の騎士かな?」
「苦し紛れだろ?目の前に居るんだから否定的な発言はできないだろ?」
「うふふっ、そうかな?そうかも?」
「ところが僕の出現で計画が狂った、さて、どうするんだ?」
「そうよね・・・オーナーからの依頼だもの、彼に話して断わってもらうわ。それでいいでしょ?」
「まぁ、それが筋というものだね」
「うん・・・明日の都合のいい時間に掛けて・・・あれ?携帯?・・・あなた?」
「僕じゃないね。バッグの中から聞こえないか?」
「ほんとだ!・・・ちょこっと待ってね?」

立ち上がったいずみは、ベッドに置いていたバッグから、携帯を取り出します。

「あれ?オーナーから・・・彼の事かもしれないわ。出てもいい?」
「スピーカーに、いいね?」

椅子に腰を下ろし、携帯をテーブルに置いてから、私に笑顔を見せます。


『どうしたの?』

平然とした様子に、内心驚かされます。

『仕事だろ?』
『えっ?・・・どうして?・・・聞いたの?』
『大丈夫かな?』
『大変だったのよ。何とか纏まったけど、ホント疲れるわ』
『忙しいのは分かるんだが、少し話せるかな?』
『そうね、少しなら・・・』
『仕事なら仕方ないが、急に帰っただろ?仕事じゃなくて、その前に話してた男性と会っている
んじゃないかとかね、気にしてる訳だよ』
『昔の知り合いなのよ。偶然ってあるでしょ?お仕事でもいつどうなるか分からないでしょ?
意図的にお芝居なんてできないわよ』
『だろうな。そう話したんだが聞く耳を持たないってやつよ。そこまで忙しい筈はないの一点張り
でね』
『一応紹介したのよ。そしたら何て言ったと思う?』
『紹介って、その男性の名前を?』
『聞いていないの?』
『何も・・・興奮してて覚えていないんじゃないか?』
『傍に居るんでしょ?』


[23] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/04 (月) 21:39 ID:3U5hAgGs No.196075



私に目線を合わせて、ピースサインを送ってきます。

『テラスで待たせてる。いずみちゃんの承諾が取れないと話せないから、先に掛けたって訳よ』
『嬉しいわ、気を遣ってくれて。間違っても私の連絡先は話さないでね?』
『自分が可愛いからね、話す訳ないだろ?』
『お利口さんね。さっき話したこと、補足するわね?紹介した時ね、私の夫って言ったのよ。
理解を越えてるでしょ?唖然として何も言えなかったわ。ほんと理解不能な人って再確認させ
られたわ』
『ほんとか?夫婦ごっこは二人だけのプレイだろ?驚きだね』
『驚天動地って知ってる?ほんとあり得ないんだから。あのね、プレイって言わないでね?
知らない人が聞いたら勘違いするでしょ?』
『言えてる・・・どうだろ?代わるから、いずみちゃんの正直な気持ちを話してくれないか?』
『オーナーに話そうと思っていたところなの。私には無理ね、頼まれたから受けたけど、
疲れるだけだもの、お断りしたいわ』
『僕より、いずみちゃんが話した方が早いし、あきらめもつくだろ?それでいいかな?』
『そうね・・・いいわよ、代わってくれる?』

少しの間合いがあります。
いずみは私の目を真っ直ぐ見詰めて、ウインクして微笑みます。
何処までも余裕があるのには、ほんとに驚きです。

『代わるよ、いいかい?』
『いちいち聞かなくてもマイナスにはならないから、心配しないで』
『僕が頼んだことだからね。これが・・・』
『はい!ストップ!何度も言わせないで、心配しなくてもいいから。分かった?』
『分かったよ・・・』

二人が話しているような空気感が、携帯から流れてきそうです。
小さくない緊張感とでも言えばいいかもしれません。
いずみの表情が少し引き締まったように見えます。

『もしもし・・・』
『ごめんね?さっきは、緊急だったから。ぶち壊しね?』
『仕事なら・・・だけど、こんな時間に、信じられない思いだよ』
『このお話があった時ね、取り決めたでしょ?覚えてる?』
『私生活は干渉しない、だったかな?』
『住所も仕事も連絡先も何も聞かないって。会う場所と時間だけを共有すると決めたでしょ?』
『そこまでは・・・ホントに仕事なの?』
『見解の相違?そうなら私の見立て違いね。間違った判断だったって事なら、それでもいいわ。
意思疎通ができない人ならお話しなんてできないでしょ?私が仕事って言ってるのよ、それを
捻じ曲げようとするなんて、事実を事実として受け止められない自分勝手な人だわ』
『それは・・・困ったね。水入らずに水を差された思いが強くて、気になったこともあって、
それで・・・』
『歯切れが悪いわね。夫婦ごっこでは高飛車なのに、借りてきた猫なの?』
『アレはそういう設定だろ?』
『そうよ、お願いされたから、親身になってお話ししてたのに、それをナンなの、逆手に取って
疑心暗鬼の塊みたいに問い詰める?おかしいでしょ?』
『事実かどうか分からないだろ?』
『信じることが出来ないなんて、寂しい人なのね』
『言い過ぎじゃないか?さっきはキスも手も繋いで、楽しく話していただろ?』
『分からないの?強制したことが。合わせた私もバカだったかもしれないけど、少しでも癒され
たらと思ってなのよ。あのね、あなたの描いた絵は完成できないの。私には到底無理だから、
今ここでお断りします。それとね、さっき会った男性に夫って言ったでしょ?凍りつきそう
だったのよ。近い内に釈明しないといけないの、ほんとしらけるわ』


[24] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/09 (土) 11:58 ID:lRxF4OqQ No.196194



『それは・・・疑似夫婦の延長みたいなモノだろ?だったら、おかしくないだろ?』
『私は普通の人がいいの。その普通を普通に話せる、言い換えるとね、常識のある人とお話しが
したいし、あなたの望むその先も前向きに考えられるわ。分かったでしょ?もう一度言うわね、
あなたの描いた絵は完成までお付き合いできないの。下書きもできない内に、こうなって悪いん
だけど、お断りします』
『悪かったよ。修復できないかな?』
『往生際が悪いわね。引きずられる程のお付き合いじゃないでしょ?三日だとしても、数時間を
ご一緒しただけなのよ。思い入れは分かるわよ、でもね、私はあなたの奥様じゃないの。
過去と現実の境目に落ち込んでしまってるのね?しっかりしないと、未来は見えてこないし、
過去を引きずったままなら、現実なんて何も見えないわ。
過去は過去なの、分かってるのに受け入れられないんでしょ?時間が解決してくれるとでも?
元を絶たなければ、永遠に引きずったままなの。それって時間のパラドックスだわ』
『タイムパラドックス・・・過去は変えれないか?戻れるのなら、そうしたいが、私にはタイム
マシーンがないからね。分かったよ、理知的で素敵な女性に出会えて、幸せな時間を共に過ごせた
ことに感謝だね』
『持ち上げないでね?仮にね、今はそう思っていても、幸せを感じる時間はどんどん変化する
ものなの。少し前までは当たり前だったことが、今は存在などしないの。そんなことって経験ある
でしょ?だから、私の事など直ぐに忘れて、次のステップに進めるわよ。私との事もそうだけど、
過去の経験が未來への指針になるし、今より素敵な未来が待ってるの。
でもね、そうなるかどうかは、あなた次第なのよ。自分で未来への扉を閉ざさないでね?』
『教訓だね。いずみさんの忠告を胸に仕舞って日々邁進するよ・・・何だか説教されたみたい
だね、はははっ』
『良かった!少しでも通じたのなら、大成功だわ。あのね、生意気なことばかり言って、
ごめんね?』
『人生訓だね。有難く受け取っておくよ』
『短い時間だったけど、少しでもお役に立てたのなら、ほんとに嬉しいわ』
『勃てられなかったけどね?』
『えっ?・・・アレのこと?下書きもできなかったって言ったでしょ?前戯までは程遠かった
のよ。いつか機会があったら、色付けできるところまでは、頑張って欲しいわ』
『あれば、その時だね』
『そうね・・・じゃ、お元気で』
『いずみさんも・・・』

いずみの息遣いと吐息が聞こえてきそうです。


携帯を切って、私の左手、腕時計を着けていたところに、右手を触れさせてきます。

「どう?まだ汗ばんでる?うふっ」

いずみ自身の事象を、私への問い掛けに置き換えているのです。

「はははっ、どこだい?額?腋の下?」
「分かった?お股でなくて良かったわ。でも、ホント疲れるでしょ?とても気を遣ったのよ。
そう見えなかった?」
「余裕かと思ったが、かなり厳しい意見だったね」
「ああでも言わないと、納得・・・違うかな?表面だけでもいいから、理解したと言って欲し
かったの」
「彼の真相は・・・深い闇が横たわってると思うね。取り繕ったように見えるけど、彼の深層心理
までは、明らかにできなかったかな?何処か歪んでいるとは感じたが」
「私ね、奥様は亡くなったんじゃないと思うの。ほんとに短い時間だったのね、お話しできたのは。
あれ?キスとか手を繋いでとか思ってない?」
「見えないからね。いずみの自由自在だろ?」
「もう!今夜が初めてなのよ。信じなくてもいいけど、あなたならどうって事もない行為でしょ?」
「まぁ、それはいいから、理由を聞かせてくれるか?」


[25] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/09 (土) 14:56 ID:lRxF4OqQ No.196197



「理由って特にないかな?女の感って言うでしょ?正にそれなの。お話ししててどことなく違和感
があるのね。亡くなったのなら、楽しかった思い出とか色々と口にすると思うのね。
それなのに、何となく恨み節みたいな、忌避してるようなところも垣間見れるの。
あなたに会った時ね、何処か挑戦的だったでしょ?その時に、もしかしたらって。
もう分かるでしょ?」
「浮気?この場合は不倫だね。それで離婚か・・・自尊心が強いから亡くなったことにした、
そう考えれば辻褄が合うかい?」
「推測でしかないけど、そう思う方が自然だと思うの。それでも諦められないのね、だから、
奥様似の私がターゲットになったのね。偶然だとしても、一時の癒しが出来たと思えば、彼には
上出来でしょ?感謝の言葉の一つでも掛けて欲しかったわ、うふっ」
「強制はご法度だよ。まぁ、お互い様か?はははっ」
「うふふっ、やっと終わったかな?あなたへの報告もこれでお終い、それでいいでしょ?」
「そうだね・・・時間は・・・まだ少しあるね、どうしたい?」
「えっ?・・・サワちゃんに悪いでしょ?今夜の主役はサワちゃんなんだもの・・・
でも、ちょこっとはアリかな?」
「はははっ、勃つかな?」
「あれ?同じことを。お役に立てたら嬉しいわ、うふっ」

テーブルを挟んで、体を乗り出したいずみとキスを交わします。
その時、携帯に着信です。

「あれ?・・・まただわ?」
「オーナーだね。出ない訳にはいかないだろ?」
「そうね・・・時間も時間だから、サワちゃんに勃たせてもらってね?あのね、オーナーに
話そうと思っている事があるの。それを今から話して・・・まだ時間があるから、彼が帰って
いたら、お店に行ってもいい?」
「いずみの時間だからね、好きにしたらいいよ」
「うん、ありがとう・・・愛してるわ」


『どうしたの?』

先程と同じように、お決まりの文句のようです。

『帰ったよ。それを連絡しようと思って』
『いいのに。お店は大丈夫なの?』
『この時間だろ?開店休業だよ』
『そうね・・・もう会うこともないわね。オーナーに話そうと思っていたから、ちょうど良かった
かな?』
『話し?ナニかな?』
『彼って又来ることもあるでしょ?』
『来るなとは言えないからね』
『でしょ?それなら・・・また会うこともないとは言えないでしょ?だからね・・・』
『バイト?』
『今夜は冴えてるわね?』
『いつもだよ、違ったかな?あはははっ』
『寂しい?うふっ』
『当然だろ?バイトを辞めたら・・・そりゃ、寂しいに決まってるだろ?』
『三日間も彼に譲ったんだものね?寂しいだけなの?』
『誘ってるのか?あはははっ』
『オーナーに頼まれたのに、こんな結果になって申し訳ないって思ってるのよ。それに、バイトを
辞めるのも心苦しいし・・・埋め合わせしようかなって』
『優しいね、いずみちゃんは』
『だからね、今夜が最後になるでしょ?アレよ、木下さんとのアレは予定通りだから・・・
じゃ、いいかな?その時のお楽しみに取っておく?』
『いずみちゃんの気持ちを大事にしようかな?』
『取っておくってこと?』
『はははっ、寂しいんだろ?早く来いよ。慰めてやるから』
『寂しいのはお互い様でしょ?』
『つべこべ言わないで早く来いよ。今夜は嵌めて欲しいんだろ?』
『うん・・・ローターじゃなくて、いいのね?』
『立派なペニスを堪能させてやるよ。腰を抜かすなよ、あはははっ』
『お店では最後だから・・・いいわ。急いでいくから、待っててね?』
『超特急で!はははっ』


[26] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/09 (土) 17:38 ID:lRxF4OqQ No.196199



「あなた・・・ごめんね?そういうことだから」
「ライトじゃないってことだね?」
「うん・・・お店では初めてだけど。ホテルでも同じだから、今夜はヘビーに楽しみたいの」
「いいよ。早く行かないと時間が残り少ないぞ」
「あのね、サワちゃんが了解してくれたら、時間の延長をお願いしようかなって。
あなたにも・・・」
「了解だよ。石黒さんにはいずみから連絡する、いいね?」
「うん、お店に行く途中で・・・ごめんね?怒ってないでしょ?」
「はははっ、早く行けよ。オーナーを待たせたら悪いだろ?」

いずみの心情は理解できるとしても、少しナーバスになっているのは、石黒さんと私のベッドイン
が無関係ではないと思います。
ところが、石黒さんとの愛人関係は、いずみが推奨したのですから、何も言えない筈です。
また、義理堅いところもありまから、オーナーの依頼が道半ばならまだしも、端緒で破綻したの
ですから、彼への引け目を感じていると推測しても、間違っているとは思えません。
その二つが混じり合った複雑な心境を解消するために、ベッド以外ではセックスを拒否していた
オーナーに、いずみから誘ったのは自然な流れかもしれません。

立ち上がったいずみは、ベッドに置いていたバッグを抱えて、

「キスしたいのに、できないなんて何て不条理なの?うふっ」
「いいよ、好きなだけ、はははっ」

ドアのところまで来て、

「ごめんね?もうオーナーに気持ちが。嘘よ、いい?・・・”チュッ!”、うふふっ」
「いいのか?いずみルールは?」
「いいの。だって、あの人と”チュッ”ってしたでしょ?その延長だと思えばいいんだもの。
あなただって分らないでしょ?」
「オーナーにはそう説明する?」
「だって、いずみルールだもの。可能な限りでしょ?不可抗力もあるの、それがルールの基本
だもの。オーナーね、それを聞いたら猛ハッスルすること請け合いね。乞うご期待だわ」
「煽るのか?」
「自信を持たせるって言い換えたいかな?」
「そうか、この前のリベンジかい?」
「うん・・・そうかな?そうかも!」
「いずみに掛かった丸裸だね?」
「あれ?おトイレで裸に・・・なれるかな?」
「ほら!・・・」

ドアを開けて、

「・・・おっと!石黒さんに・・・」
「カードキーでしょ?バッグの中で彼女を待ってるわ」
「流石いずみだね。感心するよ」
「そうじゃないと、起業なんてできないんでしょ?うふっ」

捨て台詞とは言えないかもしれませんが、用意周到なところは見習う必要がありそうです。


先程の椅子に戻って、テーブルに置いていた腕時計を見ると、11時になろうとしています。
石黒さんとの約束は11時過ぎなのですから、いずみの交渉力如何では、12時も考えられます。
レストランの閉店時間は午後11時ですから、客を気にすることもなく性行為に臨めるのは、
二人にとっては願ったり叶ったりでしょう。


[27] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/10 (日) 11:40 ID:kiqzlcSU No.196207



いずみが部屋を出て行って10分程過ぎた頃に、彼女から着信です。


『どうした?』
『お店の近くなのね。サワちゃんね、12時頃に交代って約束してくれたの』
『強制だろ?』
『あなたの名前ってホント偉大だわ。抵抗できないのね、渋々承諾してくれたの。
会ったら、謝っててね?』
『僕が?』
『夫婦は一心同体でしょ?時間がないから・・・このままね?』

携帯を切らずに、そのままと言っているのです。
ライブ中継なのでしょうが、早晩見破られるのは必至ですから、何処迄聴かせるかいずみも
苦労しそうです。

小さく聞こえる足音のトーンが、変わります。

『あれ?オーナーは?』
『お待ちかねよ』
『おトイレ?』
『誰もいないと言っても、見られない所がいいでしょ?』
『ユカちゃんは?』
『いいの?この間の3Pの続き?』
『時間があれば・・・でも、おトイレでは無理ね?』
『いずみちゃんが終わるまでに、オーナーが射精するまでかな?できるだけ片付けを済ませて
おくわ。でも、時間は?11時は過ぎてるのよ』
『お仕事は済ませたから、今夜は特別ね?』
『スペシャル?おスぺ?』
『今夜は・・・本番かな?うふっ。アレね、テコキもあるかも?』
『二回戦も?時間は大丈夫なの?』
『12時まで。ユカちゃんとも楽しめそうね?・・・”チュッ!”・・・後でね?』

先程と同じような足音が、ほんの少し続きます。
小さく雑音が聞こえて直ぐに、”コン、コン”と小さくノック音がして、ドアの開く音が聞こえ
ます。

『お待たせ!・・・チュッ!チュ〜ッ!・・・うぐぐっ、遅くなってごめんね?寂しかった?』
『見ろよ、いきり勃ってるだろ?』
『うふふっ、指じゃない?おちんちんは?おじぎしたままでしょ?』
『いずみちゃんのフェラ待ち。待ち過ぎて寂しいって、チンコが怒ってるぞ、あはははっ』
『早過ぎない?パンツだけって。可笑しいわ、うふっ・・・うんんんっ、チュッ!チュッ〜!
・・・会いたかった?』
『したいんだろ?』
『うん・・・うぐぐぐっ、うぐっ・・・お洋服は?』
『カウンターの奧に椅子があるだろ?』
『そこで?分かったわ。待っててね?・・・チュッ!・・・もう!まだでしょ?』

先程と同じ様なドアの開閉音、それに続いて足音が小さく聞こえます。

”ガサ”と聞こえて直ぐに、とても小さな声で、

『切るわね、後で・・・』


[28] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/10 (日) 16:24 ID:kiqzlcSU No.196214



携帯が切れた後は、空気が淀んだように感じられ、望まない静寂が訪れます。

携帯を持って、ベッドに移動します。
少なくとも、20〜30分は静寂と向き合わなければなりません。
その間に、石黒さんに掛けてもいいのですが、見えない時間には到底勝てそうにありません。
ただただ、空調の流れを聞きながら、待つしかない様です。

ふと、先程の疑問が頭をもたげてきます。
疑似夫婦、夫婦ごっこと認識していたようですが、彼の名前は一度も口にしていません。
名刺を見せると言ったのですから、隠すつもりもない事は明白です。
それなのに、その理由は見えないどころか、携帯でのオーナーとのやり取りでも、二人共、口に
しないのは、不思議な気持です。
オーナーと口裏を合わせているのなら、それはそれで理解出来るのですが、その理由が分かりま
せん。
終わったことですから、目くじらを立てて追及するつもりも毛頭ありませんし、いずみもそれは
分っていると思います。
私が疑問に思ってると分っているでしょうが、時間の経過と共に、その思いが薄れていくことは、
間違いありません。

寝転んでいると、いつの間にか意識が薄れていきます。
どれ程の時間が経ったのか分からないのですが、携帯の着信音で意識が戻って来ます。
傍に置いていた携帯を手に取ると、11時3O分を指しています。
いずみなのは分かっているのですから、一気に目が覚めてきます。


『・・・うふふっ、良かったわ。頑張ってくれて、ありがとう』
『見られるのは気になるからね』
『木下さん?』
『まあね、いずみちゃんとヤレるのは嬉しいけど、今の方が断然頑張れるよ』
『こんなにも違うなんて、感動ものよ、うふっ・・・ねぇ、うふふっ・・・』
『誘ってる?』
『どうかな?・・・どう?』
『ヤルか?』
『うん・・・どうするの?』

数秒でしょうか、何も聞こえません。

『脱げよ・・・バンザイだろ?』
『さっきはいいって言ったのに・・・ここで?・・・うふふっ、ありがとう。二人共全裸、
いいのね?』
『気にするなよ・・・そうだな、手をついて・・・脚を開けよ』
『うん・・・ねぇ、キスして・・・グチュ!うぐぐっ・・・あう!いいわ!いいの!いいの!
凄い!・・・』

”ペチャペチャ”と愛液の摩擦音が小さく聞こえて直ぐに、”ドン!ドン!”と鈍い音が
リズミカルに聞こえます。
オーナーの声も息遣いも聞こえないのですから、息を止める程の集中力で腰を振っている様子が、
手に取るように分かります。

『うぐっ?・・・はははっ、相手が違うだろ?』
『うん・・・いずみちゃん・・・うぐっ、チュバー、チュチュチュー、うぐぐっ・・・』

ユカさんが傍に居たようです。
二人の話し声以外は何も聞こえなかった上に、それに集中していたため、彼女の存在を一瞬忘れて
いました。


[29] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/10 (日) 21:28 ID:kiqzlcSU No.196220



『ユカ!頭を抱いて・・・そうだ!動かない様に、いいか?・・・どうだ!イキそうか?』

その間も、ピストンの鈍い音は途切れることなく、続いています。

『あう!ううううっ!・・・凄いの!イキそう・・・あうあうあわわっわ・・・うんんん〜っ、
イクー!!』

一際大きな喘ぎ声を発して、逝ったようです。

『凄いわ、強く押さえないと・・・凄い痙攣、止まらないんだもの。笑ってしまうわ』
『二人がかりだからな。腰の動きを止めるのも大変だよ、あはははっ・・・落ち着いたら、
お掃除フェラだろ?・・・おっと!重いね、支えるのも一苦労だよ』

少し遅れて、

『・・・あうううっ・・・ナニが重いの?』
『気が付いた?・・・チュッ、チュッ〜!うふふっ』
『一瞬だけど、飛んでたかな?』
『失神?』
『うん・・・なにも聞こえなかったもの・・・えっ?あっ!?ごめんね?』

床に何かが当たるような音がして、

『ジュル・・・あれ?出さなかったの?』
『希望を叶えただろ?次は僕の番だろ?』
『えっ?・・・そんな約束した?ほんとに?』
『逝きまくってたから覚えてないんだろ?』
『うん・・・おトイレで?』
『もう一度聞くけど、何度も欲しいって言っただろ?』
『ほんとに?覚えてないかな?でも、凄かった、オーナーとは思えない、信じられない思いよ』
『これからマンションに行こうか?』
『それは・・・行きたいけど、時間が取れないの。でも・・・』
『したいだろ?』
『うん・・・どうしようかな?』
『体に聞こうか?・・・ほら!・・・気持ちいいだろ?・・・ユカ!回って来いよ・・・チュバ!、
二人で責めるからな』
『あああっ、あうあぅ・・・チュバ!チュバ!もっともっと・・・そこ!そこ!じらさないで!』
『じゃ、決まりだね?』
『今して、お願い!・・・ねぇ、挿れて!』
『マンションだろ?・・・ユカ!アナルに指を・・・そうだ!・・どうだ!同時責めは?』
『ダメ〜!ダメ!ダメ!・・・挿れて!!・・・』
『そうだな、頭が真っ白になってるだろ?聞えるか?』
『ん?・・・挿れて!お願い!・・・愛してるの、ほんとに愛してるから・・・』
『チンポ?あはははっ』
『チンポ?・・・そうよ、マンコに・・・いずみって言って!いずみのマンコって!』
『いずみ!マンションに決まりだな、いいな?』
『・・・ダメなの?』
『ベッドが良いんだろ?』
『うん・・・ベッドでしたい・・・でも・・・』
『口からチンポが出るくらい突いてやるから。嬉しいだろ?』
『うん・・・分かった・・・愛してね?』
『可愛いわ。ほんとのいずみちゃんを見たかな?』
『ねぇ、私達って仲良しでしょ?だからね、いずみって。ユカでいい?』
『嬉しいわ・・・いずみ、これでいい?』
『うふふっ、ユカも愛してね?』
『もういいだろ?早く服を着ろよ』
『うん・・・オーナーは早いんだもの。私はこれからだから、着せて欲しいな?ダメ?』
『はははっ、ブラウスとパンツだけでいいだろ?下着はバッグに・・・あはははっ、ノーパン、
ノーブラ、ブラブラさせて行こうか?』
『イヤらしいのね?それがいいのかも?』
『狭いから自分で着ろよ。カウンターから出て待ってるから。ユカも出ろよ』
『寂しいな・・・待っててね?』


[30] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/16 (土) 11:52 ID:vMmUPaEE No.196355



ガサゴソとかなり大きな音が聞こえて、か細い声で、

『5分後に電話して、お願い!』


テーブルに戻って、腕時計を着けます。
11時45分を回っていますから、15分程の性行為だったようです。

待つのはほんとに長く感じられます。
いずみの要請は理解できますから、それに従わないと石黒さんとの約束が果たせなくなります。
いずみが蒔いた種ですから、自分で解決させるのが本意ですか、この場合は致し方ありません。

しっかり5分後に掛けます。


『はい・・・えっ?ホントに?少し待ってくれる?』

少しとは言えない時間が過ぎていきます。
揉めているのかもしれませんが、自業自得だと小さくない怒りが込み上げてきます。

携帯はそのままですが、全く何も聞こえません。
少し経って、聞こえる足音が少し変わります。
もしかしたら、店に戻ったのかもしれません。

小さな雑音が聞こえて直ぐ、何かにぶつかったかのような音が聞こえます。

『いいわ・・・テーブルね?椅子を下ろしてくれる?早く!』
『いずみちゃん、誤解だよ。気を悪くしたのなら謝るから・・・』
『私も悪いんだから・・・早く済ませてくれない?』
『分かったよ。無理を言って済まなかった、だから・・・』
『スッキリしたいんでしょ?早く脱いで!・・・私も脱ぐから』
『ユカ!止めてくれないか・・・いずみちゃん、脱がなくていいから』
『オトコらしくないわね。ヤリたいって言ったでしょ?』
『いずみちゃん、もういいんじゃない?脱がなくても。一杯楽しんだでしょ?』
『わたし?そうかもしれないけど、オーナーは不満タラタラ、私の事なんて何も気にしない、
ただヤリたいだけのスケベ男じゃない?』
『男ってそういうものなの。いずみちゃんは分かっているのに、こじらせるんだもの。お仕事の
ことね、疑ったオーナーがほんとに悪いと思うわ。さっきの電話がなければ、マンションに
行ったでしょ?』
『その気だったのよ。私の気持ちが分からないなんて、ほんとしらけるわ。疑うにも程がある
でしょ?』
『僕が悪かったから、機嫌を直してくれないか?』
『心配なんでしょ?』
『戸田さん?』
『図星ね?私も非があるからお互い様でしょ?だから、何も話さないわ。今夜の事も何も・・・
これでいいでしょ?』
『有難い。じゃ、仲直りだね?』
『そうね。でも、木下さんとの乱交以外はもう会えないから。分かってるでしょ?』
『寂しいけど、了解だよ。アレだね、どうして名前を言わないんだい?』
『これもお互いね。オーナーはどうしてなの?』
『名前を口にしたら変人になりそうだから。いずみちゃんは?』
『同じよ。それが分かっていて紹介するなんて、オーナーも同じ穴の狢じゃない?』
『はははっ、言えてる。まぁ、セックスを認めてくれるんだから、彼よりは大きく許容されてる
と思ってるよ』
『思い過ぎない様にね?』
『今夜が教訓かな?』
『そうよ、胸に刻まないと。いいわね?』
『いずみちゃん、時間は?』
『ほんとだ!ユカちゃん、ありがとね。ユカって呼べる時が早く来ればいいのにね』
『うん・・・その時は・・・楽しみだわ』
『じゃ、今夜は楽しかったわ、うふっ』


[31] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/16 (土) 13:06 ID:vMmUPaEE No.196357



暫くと言っても、1〜2分でしょうか、足音が鮮明に聞こえます。

『怒ってる?』
『はははっ、驚くだろ?前戯が必要じゃないか?』
『ホントに?まことにすみませんでした、うふっ』
『待たせ過ぎだろ?石黒さんに早く連絡しろよ』
『あなたも・・・ごめんね?』
『言い訳は後で聞くから、石黒さんだろ?』
『はい!仰せのままに、うふっ』
『はははっ、切るぞ!』
『はい!直ぐ掛けます。あのね、サワちゃんと入れ替わったら、直ぐに掛けるから』
『時間がないだろ?要約が試されるぞ、いいね?』
『はい!頑張ります、うふっ』

全く堪えていると思える節は感じられません。
それがいずみであり、いずみなのですが、お灸も必要な時があると分からせなければ、また同じ
轍を踏まないとも限りません。

腕時計に目をやると、12時に差し掛かっています。
12時の交代は難しいとしても、何とか約束を守れそうです。
それでも、石黒さんがこちらに来た時の心情を考えれば、明るく迎えるのは不謹慎かもしれません。

いずみから掛かってきたのは、15分が経過した頃です。
携帯は、スピーカーにしてテーブルに置きます。
特に意味はないのですが、今から考えれば、一連の出来事に疲れたのがその理由だと言えそうです。
私が気付かなければ、少なくとも今夜は平常心で石黒さんと接していただろう時間を、いずみに
奪われたのですから、内心穏やかではありません。
ただ、いずみが性行為をしていた事実を咎めるつもりも追及することもないのですが、その過程に
問題があることは明白です。
そこは指摘しますが、当然の如く、いずみは分かっているのです。
どのように言い逃れるのか、ある意味、楽しみでもありますが、彼女が内実を白状するのかも
注視したいと思います。


『遅くなってごめんなさい。サワちゃんと交代しました。10分か15分くらいで、あなたのところに
・・・』
『少し時間はあるか・・・いずみ!いい加減にしろよ!』

一瞬、時が止まったような空気感が伝わって来ます。

『・・・あなた・・・ホントにごめんなさい。言い訳はしません、全て私が悪いの』
『反省してるのか?』
『はい・・・』

か細い声ですが、まだ余裕があるようです。

『聞こうか?』


[32] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/16 (土) 17:40 ID:vMmUPaEE No.196362



『はい・・・オーナーのところに行った事・・・サワちゃんに時間の変更をお願いした事
・・・オーナーのマンションに行こうとした事、全て私が悪いの』
『善悪の話じゃないだろ?欲望に負けたその気持ちが一番の原因じゃないか?』
『うん・・・』
『ぐうの音も出ないのか?』
『何も言えないもの。あなたに指摘されたそれが全てだもの、後悔しかないの。あなたに注意
されなかったから、調子に乗ってしまって。バカな私・・・ほんとに、ごめんなさい』
『誰かに示唆されたとは思えないが、オーナーと事前に決めていた、または、そうしようと
思っていた、どちらか。それ以外に理由があるのなら、話さないか?』
『オーナーとは何も決めていなかった、ほんとにほんとだから。でもね、彼を紹介した手前、
本音が言えないというか、私に察して欲しいような、そんな口振りだったの』
『具体的に話せよ』
『うん・・・私達が名付けたでしょ?ライトセックスって。諦められない様な雰囲気なの。
だからね、早く終わって戻って来てって。それが示唆だと言えなくもないかな?』
『かな?・・・示唆じゃないだろ?分からないのか?』
『ごめんなさい・・・誤魔化そうとか、そういうんじゃないけど、示唆ってあなたが言ったから、
そうかなって。出来たらそうして欲しいみたいな、曖昧だったけど、私にはそう思えたの』
『仮にだよ、戸田さんの前でこの件の説明を求められたら、同じ意見になると思うか?』
『・・・違うかな?オーナーは否定すると思うし、私はそうだって。きっと・・・分からない
けど、なすり合いになるかも?』
『”かも”とか、曖昧な返事はしない様に、いいか?』
『ごめんなさい。でも、ほんとに分からないの、そうなってみないと』
『じゃ、その場を設けてもらおうか?』
『えっ?・・・それは・・・戸田さんに話さないって、携帯で聞こえていたでしょ?』
『決めるのは戸田、僕だろ?いずみに任せているが、判断できないのなら、戸田が出るしかない
だろ?』
『でも・・・黒子でしょ?いいの?表に出て』
『分からないのか?曖昧な口調、優柔不断な態度、そんなことで何ができると言うんだ。
胸に手を当ててよく考えろ!』
『・・・そうだった、やるべきことはハッキリ分かっているのに、欲望に負けてしまって。
今この時からシッカリ判断できるようにします。謝って済ことじゃないのは分かりました』
『見えないだろ?』
『オーナーとは携帯で話した通り、今夜が最後。あなたに指摘されることを考えてじゃないの。
でも、木下さんとの乱交は約束通り。オーナーとのことはこれでいいでしょ?』
『正しい判断だが、減点が大き過ぎるだろ?どう説明するんだ』
『マンションに行くことね?・・・朦朧としていたから何を話したのか、ほんとに覚えていな
くて、オーナーが言ったことがそうだろうって。あっ?これはおトイレでの時ね?
もっとしたいって言ったのならそうだろうと思えて。興奮してたら言っていてもおかしくないもの。
それは分かるでしょ?』
『確認することもない、容認してる行為だからね。それじゃないだろ?』
『マンションの事は、話しの流れでそうなったかもしれないけど、違うわ、分かっていたの、
行けないことは。だから、その話しが出た時からタイミングを計っていたというか、急ブレーキ
なら怪我するかもしれないでしょ?流れの中に身を置いて、そっと方向を変える、それしかない
と思ったの』
『そうは聞こえなかったが、上手く誘導した?そう理解しようか?』
『うん・・・ありがとう。真実しか話していないのよ、それは分かってくれるでしょ?』


[33] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/17 (日) 12:38 ID:3ZgMVBeY No.196375



見えない事実を問い質します。

『そうだね。少し戻ろうか?』
『うん・・・気になる事でもあるの?』
『僕に聴かせたのは、カウンターの中だろ?』
『うん・・・ユカちゃんはカウンターの外に居たの、途中から入って来たけど。説明しなくて
ごめんなさい』
『まぁ、そうだろうとは思ったが。そこは狭いのか?』
『うん・・・あっ?オーナーが自主的に外に出たことなの?』
『いずみは何も示唆しなかっただろ?彼が出ないと、携帯には近付けないんだろ?』
『ユカちゃんと話してる時に、オーナーはお洋服を着たのね。ほんと早くて、マンションに
行って早くヤリたいって感じだったの。だって二回目は射精しなかったんだもの。
あのね、ユカちゃんに話し掛けたのは、じらすためだったの。ちょこっと不安だったけど、
上手くいって良かったわ』
『男の心理が読めてる?まぁ、いずみなら手車に乗せられるかな?はははっ』
『うふふっ、良かった!もう怒ってない?』
『どうかな?はははっ』
『あっ?あなたを乗せてるって思ってない?』
『乗せられる方が気が楽だろうね』
『ほんとだ!・・・あれ?サワちゃんは乗せてないから、あなたが乗せたのかも?うふっ』
『いずみマジックかい?』
『だって、サワちゃんって、あなたには逆らえないでしょ?』
『ん?・・・ちょっと待ってくれるか?』


いずみの返事を聞かずに、物音のするドアに向かいます。
ドアノブに手を掛けようとした時、そっとドアが開いて、

「あっ?!分かった?」

笑顔の石黒さんが顔を覗かせます。

「ドアノブをガチャガチャさせてただろ?」
「だって、カードキーと相性が悪いんじゃない?何度目かよ、解錠できたのは」
「はははっ、タッチさせる位置だろ?」
「うん、慣れてないかも?・・・」

部屋に入るなり抱き付いてきます。

「・・・チュッ!・・・・うふふっ、久し振りね。会えて良かったわ」
「いずみが無理を言って悪かったね」
「いいの。小田さんに会えたんだもの」

私の左腕に両手を廻した石黒さんを、テーブルの傍まで連れて来ます。

「謝ったかい?」
「軽く・・・あれって謝罪なの?小田さんを出されたら仕方ないもの」
「だよね・・・聞こえたか?」

”えっ?”と呟いた石黒さんは、テーブルに置いていた携帯に気付いたようです。
彼女が口を開く前に、


『ごめんね、深く反省してるから・・・聞こえてる?』


[34] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/17 (日) 16:52 ID:3ZgMVBeY No.196379



私の耳元で、

「いずみさんと話してたの?」
「石黒さんが・・・」
「サワでしょ?うふっ」
「サワちゃんだったね。サワちゃんが来る迄の予定だったんだが、長引いてしまったね」

少し大きな声で、

「”だったね”って言わないで!寂しいでしょ?」


『待たされる私も寂しくなるわよ』

テーブルに両手をついて、携帯に顔を近付けた石黒さんが、

『聞き耳を立てていたのですか?』
『それしかないでしょ?他に何もしていないのよ』
『お話は終わりました?』
『そうね・・・あなた、サワちゃんが来たことだし、どうする?』
『もう一度、心から謝罪だろ?』
『うん・・・ほんとにごめんなさい。1時間も削ってしまった事、謝っても謝り切れないけど、
許してくれる?』
『どうしようかな?・・・いずみさんから何か提案でもないですか?』
『埋め合わせ?欲しいものがあれば・・・何でもって言えないけど・・・』
『分かりました。考えてからお返事するでいいですか?』
『いいわよ。今夜ね、色々とあったのね。原因は私にあるから・・・』
『いずみ!それじゃ分からないだろ?』
『うん・・・性欲・・・ちょこっと恥ずかしいけど、欲望に負けてしまって、それで遅くなったの』
『おかしな人と?』
『それはないの。オーナーと・・・ごめんね、自分勝手な事情で、サワちゃんの大事な時間を
使ってしまって。ほんとにごめんなさい』
『その人じゃなくて良かったかな?まだブレーキが掛けられるんだもの、大丈夫だわ』
『うん・・・あなた、話してたらもっと時間を削ってしまうでしょ?』
『そうだね・・・これで許してくれるかな?』
『はい!小田さんに頼まれたら断る事なんてできないもの。いずみさん、利用するのも考えモノ
ですね?』
『そうね、軽すぎた?』
『いずみさんらしくないもの。もっと考えるべきだと・・・偉そうなことを言ってすみません』
『いいのよ、今夜は・・・』
『明日からは・・・手加減をお願いします』
『そうね・・・朝食は主人と、私はタクシーで幼稚園経由で出社するから、始業時間まで二人で
過ごしたら?』
『ほんとに?いいんですか?』
『できる範囲の一つ目かな?今はこれしか言えないけど、分かってね?』
『はい、ありがとうございます』
『じゃ、主人をよろしくね。お休みなさい』
『はい、お休みなさい』


椅子に坐っていた私の手を取った石黒さんは、

「いずみさんって、しおらしいところもあるんですね?」
「はははっ、それがいずみだよ」
「どういうこと?」
「変幻自在だと認識していないと、足をすくわれるよ」
「変り身が早い・・・そう言えば、そうかもしれないわ。お話ししてても、他の事を考えている
って思える時も。お話の流れなんて関係ないみたいに、急に思い付きを話すこともあるの」
「だろ?真剣に取り合わない方がいいかもしれないね、はははっ」
「それでも、それでもね、”そんなのでいいの?”って思える様なアイデアを纏め上げる手腕は、
驚きでしかないわ」
「摩訶不思議がお似合いかな?」
「ほんとだ!でも、明日からが心配かな?」
「手厳しい?だったら僕の名前を出せばいいんじゃないか?」
「そんなことできないわ。私がさっき言ったのよ、忘れてるなんて考えられないもの」
「執念深くはないから、それは心配しなくていいよ。明日になったら忘却の彼方だよ、大丈夫、
請け合うよ」
「それならいいけど。難しく話すって、いずみさんも言ってましたよ。それって、いずみさん
だけかと思っていたのに、私にも。何だか嬉しいかな?」
「馴染んできた証拠かもしれないね」
「うん、きっとそうよ。ホントに嬉しいわ」


[35] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/17 (日) 21:17 ID:3ZgMVBeY No.196385



本心なのかと思えるのですが、疑う意味も見い出せない程の距離感を感じています。
マリアさんの差し金だと推測しても、究極的には、いずみを守ることがミッションなのは、間違い
ありません。
当然、関係者としての私も擁護されるに値すると判断されていることも、十二分に分かっています。
私も含めた関係者がいずみを守る、言い換えるのなら、警護の意味合いかもしれません。
少し大袈裟な表現になりましたが、それだけ価値があると認められている証拠とも取れます。

「今夜の事は僕からも謝らないといけない。僕をダシに使うのを許したからね、申し訳ない。
いずみに代わって何なりと要望を聞こうかな?」
「いいの?でも、それはいずみさんにお願いしないと、筋が通らないわ。
小田さんとは普通に接して、愛人としての、何と言えばいいのかな、お勤め?古い?」
「はははっ、難しく考えなくていいんだよ。今まで通り・・・ん?今夜は違ったが、今からそう
すればいいんじゃないか?」
「うん・・・では、シャワーから今夜が始まります。早く行こうよ!」

既に日付は変わっているのですから、悠長には構えておれません。
明日の午後の出社予定なのですが、この様子では一日休むことになりそうです。

月一回と決めてはいるのですが、私の仕事の都合とか、今夜のようにいずみの横槍などで、
約束を果たせてはいません。

”今まで通り”と私が口にした流れかもしれませんが、ほんとに普通の性行為、特筆できるような
前戯も体位もありません。
性行為だけをクローズアップすれば、長年生活を共にした夫婦の営みのように思えてきます。

「不思議なんだが、サワちゃんが妻のように感じられるよ」
「えっ?ほんとに?嬉しいなぁ・・・でもそれって、いずみさんが他の男性と関係を持っいる
ことに起因するんじゃない?」
「かもしれないが、穏やかな気持で事に臨めるのは、精神衛生上には非常に好ましいことだよ」
「事に臨むって言う?セックスをするって言えないの?この石頭が!うふふっ」

仰向けに寝ている私の左側で、隙間もない程体を密着させている石黒さんが、こぶしを振りかざ
して、私の頭に下ろしてきます。
いずみの前では、それなりの緊張感を持っているようですが、私と二人の時は、かなりリラックス
していることの現われでしょう。

「はははっ、痛くも何もないね。手加減し過ぎだろ?」
「痛く感じるか、そうじゃないかは、小田さんの受け取り方なの。私が小田さんの許容範囲なのか
知る手がかりかな?うふっ」
「試した?」
「うん・・・試しました」
「で?」
「必要なかったかな?だって、私を妻って・・・信じていいの?」
「サワちゃんの気持ち次第じゃないか?はははっ」
「そういうことね?それなら永遠の妻って言えそうよ」
「有難いが・・・」
「いずみさんでしょ?」
「代わりはいないからね。唯一無二の存在だよ」
「分かるわ、ほんとに尊敬してるの。でも、いずみさんって普通じゃないわ。見た目と中身が
違うって言うでしょ?清楚で・・・どう言えばいいのかな?優しそうかな?それね?お話ししたら
真逆なの。驚きを通り過ぎて笑いそうになるのよ」
「大袈裟だね?まぁ、間違ってるとは言えないが、あれほどギャップが大きいと不信感を持たれる
こともあるようだね」
「分かるなぁ、”ほんと?”って・・・そうだわ、今夜のお相手の男性も、きっとそのギャップに
驚いたと思うわ」
「携帯で話してたね。聞いてるのかい?」


[36] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/23 (土) 11:37 ID:kyJyjI0c No.196525



「”ライトセックスの代わりにはならない”って、嘆いていたの。”オーナーの紹介だから仕方
ないけど、今夜で終りにしたい”って」
「計画的には見えなかったが。まぁ、僕の登場がそれを助長させたかもしれないね」
「お助けマン?夫婦ごっこって、呆れる発想だわ。そうでしょ?」
「彼は本気だったみたいだよ。”いずみの主人”だと言ったからね」
「笑ってしまうわ。そんな人だとは何となく分かっていたけど」
「ん?・・・何となく?」
「あれ?・・・勇み足?」
「知ってるのか?」
「いずみさんには何も話していないの。相性が良くないとか言ってたし・・・初対面の時からなの。
最初からベッドインのつもりだったみたいなのね、いずみさんは。”出鼻をくじかれた”って、
呆れ顔だったわ」
「オーナーが持ち上げていたんじゃないか?それを真に受けたいずみか、分からないではないね」
「なんか、お人好しのところもあるでしょ?純真無垢みたいな、違うのにそう思わせる仕草とか。
”ほんとにアラフォーなの?”って聞きたくなることもあるでしょ?」
「あるね、大ありだよ。誘っているつもりはないんだろうけど、今夜はオーナーを誘っていた
けどね。そう思わせる雰囲気作りが上手いというか、自然にそれができるんだから、並みの男なら
太刀打ちできないね」
「撃沈?・・・ゲキチンかな?」
「ん?字が違う?」
「そう!・・・激しいオチンチンで、激チン・・・あれ?それならいずみさんが撃沈だわ、うふっ」
「まだ修行が足りないね、はははっ・・・」


他愛ない会話は、ほんとに心が癒されます。
いずみの性事情を一瞬でも忘れられるこの時も、来年にはどうなっているか、この時点ではまだ
分っていません。
石黒さんが口を滑らしたか、意図的かは分からないのですが、いずみが”変な人”と認定した
その男性と石黒さんとの関係性が気になります。

「・・・ところで・・・」
「今夜の男性でしょ?お話しするつもりだったの。さっきも言ったけど、いずみさんには話して
いないから、内緒ね?」
「話さない理由があるのなら、後で聞かせてくれないか?何はともあれ、その男性との関係を
聞きたいね」
「”何はともあれ?”・・・うふふっ、兎に角でいいんじゃない?」

いずみから私の話し方を聞き及んでいる証拠でしょう。
少しの嫌味も含まれている様に受け取れるのは、私のひがみかもしれません。

「まぁ、細かいことは気にしないで、おおらかにお願いしようかな?」
「はい!了解です・・・なんか、天然っていいですね?」
「ん?意味不明だが・・・」
「そうでしょ?ナニを考えてるのか分からなくても、スルーしてもらえるでしょ?」
「損得じゃないだろ?持って生まれた気質だからね、それだけで人間性を測れないよ」
「いずみさんになりたいのに、天然は無理かな?」
「拘っていないか?逸れている、逸らせている、どっちだい?」
「初めて会って直ぐにベッドインの予定がダメになったって、顔色も変えずに、普通通りって
言えばいいかな?いくらなんでも帰って直ぐに話さないでしょ?なんか、天然っていいなって、
そう思わない?」
「はははっ、期待が大きかったんじゃないか?それだけ失望も大きい、分かるじゃないか?」
「それはね。開口一番って私にはできないわ、性行為しか頭にないって思われるでしょ?」
「だから天然なんだよ・・・ん?僕に認識させたい?そうだろ?はははっ」
「気にならないんだもの。なんか、羨ましいかな?」
「それはさておき、いいかな?」


[37] Re: 絆のあとさき 5  小田 :2024/11/23 (土) 15:31 ID:kyJyjI0c No.196526



「ごめんね?愚痴ぽくなって・・・交際クラブのこと話したことがあるでしょ?」
「マリアさんの依頼とか、その男性なの?」
「あの時は急遽だったでしょ?同じ人じゃないの。いずみさんね、名前を話さないのよ。
私も聞かなかったけど、お話しする時って、”誰誰さんが”とか、それが普通でしょ?」
「天然だから?」
「違うと思うわ。意識して避けてるって感じなの。なんか〜、相性の問題みたいな、そんな感じ
かな?」
「長続きしないと判断したからかもしれないね」
「きっとね。その人ね、私も好きじゃないから、名無しでいい?」
「はははっ、もう会うこともないが、サワちゃんは?」
「困るのね。お断りしてるんだけど、社長も大変だと思うわ」
「続いてるの?」
「1ヶ月は会ってないかな?いずみさんと会うようになってから連絡がないけど、いずみさんと
決裂でしょ?明日からが心配だわ」
「彼の性癖は分からないが、結婚ごっこじゃないだろ?」
「なんか、陰湿かな?」
「名前も話さないのに同じ人物とは、そこからだろ?」
「それなの。いずみさんが会う男性って気になるでしょ?」
「任せてるからね・・・ん?サワちゃんが?」
「私だけ?そうよね、大きな心かしら?」
「はははっ、進めろよ」
「いずみさんが初めて会った夜、その人が自撮り、ツーショットなのね、それを送ってきたの」
「彼から?いずみにしては安易だね、ほんとに?」
「オーナーさん経由なの。安易じゃないでしょ?」
「なるほど。それを?」
「初めて会ったのにツーショットってサービスし過ぎでしょ?」
「優しいからね、はははっ」
「いずみさんを愛してるものね?」
「サワちゃんの前では言えないかな?はははっ」
「なんか、新しい夫婦関係みたいな、それもアリね?」
「愛人?」
「それは私、いずみさんはセフレでしょ?」
「時の流れがそれを決めると思うね。もう暫くはそのままがベストとは言えなくても、ベター
なのは間違いないと思ってるよ」
「私はベストでしょ?」
「疑いの余地もないよ、はははっ」
「それって疑いがあるってことの裏返しでしょ?」
「思い取り様だね。信じて間違いないと思わないと、前向きにはなれないだろ?」
「性善説?」
「今夜のこと?」
「ほんと普通、なんか、いいなって。長く寄り添った夫婦みたいな、とても素敵なセックス
だったわ」
「裏返し?」
「えっ?・・・分かるの?」
「感慨深げだからね。真逆が普通になっている、違うかい?」
「その人とは・・・ほんとスケベなの。口にするのも恥ずかしいけど、話そうかな?うふっ」
「はははっ、話したいんだろ?」
「いずみさんも嫌いな人だもの。共通の嫌悪感を分って欲しいかな?」
「聞こうか?」
「プロフィールは?」



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